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2023.07.31

【開発モダナイゼーション】第11回「IBM i開発者にRPGを教える」

【開発モダナイゼーション】第11回「IBM i開発者にRPGを教える」
【開発モダナイゼーション】第11回「IBM i開発者にRPGを教える」
RPGプログラマーの後継者問題解決は、IBM iユーザーにとって大きな課題の1つと言えます。今回は、現代的RPG(ILE RPGやFF RPG)の開発者をどのように育成するかという視点から、多くのユーザーに現代的RPGを教えてきた、経験豊かなポール・ツーイ氏とジム・バック氏の2人へのインタビュー記事をお届けします。現代的RPGの教育訓練にとどまらず、開発ツールの在り方、データベースのSQL化など、アプリケーションのモダナイゼーションという観点からも示唆に富んでいます。(編集部)

2018年1月11日
スティーブ・ウィル

IBM i戦略の鍵の1つは、RPGを知らない開発者がRPGを簡単に学習できる現代的なプログラミング言語に変換することでした。調査結果からユーザーグループやカンファレンスでのケーススタディ、そして開発者とのやりとりに至るまで、私達がその戦略をうまく活用していることはとても明白です。

しかし、その戦略のもう1つの要素は、実際にそれらの開発者に現代的RPGを習得させることです。このブログでは、RPGを教えることに時間を掛けているポール・ツーイとジム・バックというIBM iコミュニティの有名なメンバー2人の考えと経験をお届けしようと思います。

ポール・ツーイは、彼の 「ツーイとのiTalk」 ポッドキャストで良く知られており、また、スーザン・ガントナー及びジョン・パリスと協力して、年に2回RPG&DB2サミット・カンファレンスをコミュニティに提供しています。自身が所有するComCon社では、RPGだけでなく、教師とコンサルタントとしての務めも果たしています。

ジム・バック氏は最近、ゲートウェイ・テクニカル・カレッジの教員を退職しましたが、IBM iコミュニティから引退してはいません。彼は自分の会社、imPower Technologies社を設立しました。

私は両専門家に、コミュニティでの使命について、また彼等が考え、実行していることについて尋ねました。ここには私の質問と彼らの回答のいくつか、そしてそれらと一緒に最後に私からの締めくくりの言葉があります。

スティーブ:あなたの会社の使命は何ですか?

ジム   :私は、企業文化を変革し、人材スキルを助成し、高め、企業の教育予算に対して最大限の投資効果をもたらす最高品質のIBM i教育トレーニングを提供したいと考えています。

スティーブ:あなたの典型的な顧客は誰ですか?

ポール  :私の顧客は、小規模な1~2人の会社から大規模な多国籍企業に至るまで、IBM iの顧客基盤の全領域に渡ります。この傾向は、特にカンファレンスの場合に顕著です。

ジム   :imPowerのコースは、RPG初心者の若い開発者や、既存のスキルを向上・更新したい経験豊富な開発者、あるいはRPGプログラマーが見つからず、コンピューター科学の卒業生を積極的に採用して彼等にRPGで訓練をしている組織にも役立ちます。

スティーブ:達成しようとしている目標は何ですか?

ポール  :私は、通常モダナイゼーションプロセスの初期段階で顧客と取引します。彼等の長期目標はモダナイゼーション(通常は実際の計画とは対照的に幅広い概念)ですが、基本スキルセットを適切に整備する必要があります。それは通常、鶏と卵の状況です。開発者は、スキルを学ぶまで、何ができるか分からず、そして何をするべきかを決めるまで、どんなスキルが必要か分らない(と感じる)のです。

ジム   :一部の人にとって、それは求人枠の空きを埋めることに関する問題です:企業は、RPGプログラマーは見付けられませんが、コンピューター科学の卒業生は見付けられます。彼等はコンピューター科学の卒業生を雇うことができ、私達はわずか8週間でRPGを彼等に訓練します。他の人は、既存のスキルを最新の状態にしようとしている求職者です。

スティーブ:それは良い問題を提起しています。ジムのコースは8週間実施されるように設定されています。ポール、あなたは顧客とどれくらいの時間を過ごしますか?

ポール  :2日からアジャイル開発/教育プロセスの場合には2~3週間です。後者のケースでは開発者と一緒に「スカンクワークス」概念実証プロジェクトに取り組み、その期間は時々それ位に及びます。

スティーブ:あなた方はそれぞれ、何十年もこの分野で豊富な経験をもっています。人々が学びたいと要望する事に傾向がありますか?

ジム   :プロシージャ及びサービス・プログラムによるモジュール形式のRPGプログラミング、ならびにSQLです。SQLにはDML、DDL、動的埋め込みSQL及び静的SQLが含まれます。また、IBM iの初心者向けとしてはIBM iの概念やIBM iの管理です。

ポール  :現代的RPGとILEは不動の人気があります。暫くの間、RDiが多くの関心を集めていました。これは昨年、静かになりました。皆がそれを使っているからだと願いたいですね(笑み)。最大のトレンドは、DDL、DML、埋め込みSQLなどのSQLで、特に埋め込みSQLです。

スティーブ:特にRPGに関連して、現代的RPGを下記の人達に教えるときにどんな経験をしていますか?

  • 長年のRPGプログラマー
  • 他の言語を知っている経験豊富なプログラマー
  • 学校を卒業したての新人プログラマー

ポール  :私は、これら3つすべてが混在しているのを経験しました。しかし、過去5年程経つ内に、より多くの他の言語の経験豊かなプログラマーや、学校を出たてのプログラマーが現代的RPGを学ぶようになっています。彼等にとって、現代的RPGは非常に簡単です。

ジム   :長年のRPGプログラマーは、新しいRPGとプログラミング概念を教わると、通常は興奮して新しい技術を素早く選びます。他の言語を知っている経験豊富なプログラマーは、データベースへのアクセスが容易なので、言語をすばやく理解しRPGに感銘を受けます。学校を出たばかりのプログラマーについて言えば、彼等はPCやモバイル環境から来ており、IBM iシステムのこれらの力を見せられると、システムの可能性に魅了されます。

スティーブ:ツールについてはどうでしょう。それらは今日のRPGの学習、そしてその次にRPGによる開発にどう影響するのでしょうか?

ポール  :あらゆる開発環境と同様、ツールは大きな影響を与えます。RPG開発者に対して、私達は主にACSとRDiについて話しています。現代的RPGはSEU / PDMが使えません。経験豊富なプログラマー及び新たな新卒プログラマーは、現代的な開発ツールを期待しています。時にはACSやRDiよりもさらに多くの機能を期待しています(笑み)。長年のRPGプログラマーにとっては、より難しいことです。人生の長年の習慣を破るのは難しいことです。しかし、努力するならば、新しいツールを試す前であっても、彼等は(少なくとも)30%の生産性向上を目の前にしています。

ジム   :imPowerコースの要件は、RDiとACSを使用することです。これらのツールは、コードの開発とシステムの操作をはるかに容易にし、ポールの言うとおりはるかに生産的です。

スティーブ:あなたに質問しなかった事で、言っておきたい事はありますか?

ジム   :もし、企業が現代的RPG技術を採用して新しいツールを使用するならば、IBM iから他のプラットフォームに移ることに関する議論は少なくなると私は感じています。若いプログラマー及び長年のRPGプログラマーが、新しいツールやコーディング技法を学ぶのを助けるため、私達は新技術及びビジネスのニーズに対応するよう大いに努力しています。imPower社のクラスとトレーニングは、過去15年以上教えながら私が開発し、使用したのと同じカリキュラムと技法を使って、それらのグループの間に存在するギャップを埋める筈です。

ポール  :私が言いたいただ一つの他の事は、ほとんどの場合プログラマーはとても幸運な人達だということです。私達プログラマーは、私達が実際に楽しむものに取り組んでいます。プログラミングは楽しいものであるはずです。それを楽しんでください。新しいものを受け容れ、あなたがすべてを知っている訳ではなく、学ぶべき多くの新しい事があるという事実を受け容れ、そして常にこれが現実であるという事実を受け容れてください。

インタビューの概要はこんなところです。RPGの将来は、IBM iの将来にとって戦略的に重要です。IBM社内で、私達はRPGとその作成、デバッグ及び保守に使われるツールが強力で学びやすいものであることを保証するために努力し続けています。私たちの協力戦略は、喜んで学んでいる人達に、そこにいてそれを教える人々を頼りにもしています。これらの専門家が話す事から、それは生じています。もちろん、彼等だけがこの仕事をしている人々ではありません。私はIBM iコミュニティ内で有名な、同じ情熱をもつ他の沢山の人々と話をすることができました。IBM iとRPGのユーザーとして知っておく必要があることは、あなたの会社が古いテクノロジーから現代的RPGの新しい世界に移行する必要があるなら、多くの助けがあるということです。他の人達は、あなたの為に先駆者となっただけでなく、あなたが旅する為の素敵で滑らかな高速道路を造り、おそらくこれまで考えもしなかった程はるかに速く、あなたが行く必要のある場所にあなたを連れて行きます。

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