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「Power Systemsテクニカル・ワークショップ2018」イベントレポート


 

2018年5月15日から5月17日にわたり、日本IBM箱崎事業所でPower Systemsテクニカル・ワークショップ2018が開催され、POWERシステムの新製品に関する技術情報と共にIBM iやAIXの方向性が明らかにされました。当レポートではIBM iに関連する話題を中心にその内容をお伝えします。

IBM Systems Lab Services Gery Cornell氏

POWER9搭載サーバー

既にご存知のとおり、今年2月に発表済みのPOWER9を搭載したサーバー製品は、

  • AI向けモデルのAC922
  • IBM i、AIX及びLinuxを実行可能なS922、S914、S924
  • Linux専用機のL922
  • SAP HANAに最適化されたH922とH924

であり、AC922はSMT4コア、その他のモデルはすべてSMT8コアを使った“スケールアウト”モデルとなります。また、セミナー開催直前の5月8日には新たにLC921とLC922というSMT4コアを使った“スケールアウト”モデルが発表され、年後半にはE950とE980というSMT8コアを使った“スケールアップ”モデルが追加発表される予定です。
ベースとなるPOWER9チップは、インテルx86に比べてコア当たりの性能は2倍、メモリーバンド幅は1.4倍と業界トップの性能を誇ります。POWER8との比較でもプロセッサー性能は1.5倍、最大メモリー容量が2倍と大幅に性能が向上しています。
また、CPUの性能向上だけでなく以下のような新世代のI/O規格を採用し、周辺機器との間のデータ転送速度も大幅に向上させています。

  • PCIe Gen4(16GT/s)をサポート。PCIe Gen3の約1.6倍の転送速度を実現
  • NVMeを装備しM.2規格でDDSが最大2つ接続可能

2月13日発表のPOWER9搭載サーバーの詳細については、既報のiCafe記事“【速報】待望のPOWER9搭載ミッドレンジサーバー登場!”をご覧ください。

IBM i 7.2とIBM i 7.3

IBM i 7.2及びIBM i 7.3は共にPOWER7、POWER7+、POWER8、POWER9を搭載したサーバー上で稼働可能です。ただ、IBM i 7.3の方がより高機能であり、今後の機能拡張や保守期間を併せて考えると、基本的にはIBM i 7.3を選択するべきでしょう。

過去を振り返ってみると、PASEによるオープン化への対応を皮切りに、DB2 for iに対する数々の機能強化、ユーザーインターフェースのWeb対応、RPGによるモバイル端末のサポート、Webサービス機能の追加などIBM iは独自の統合OS環境に最新のIT技術を積極的に取り入れてきました。今後もその進化のし方は変わることなく継承されていくとのことですので、次世代のサーバーの基盤としてもIBM iはこれまで通り使いやすく信頼性の高いOSであり続けるのは間違いないでしょう。

IBM iの次期及び次々期のバージョン(ないしリリース)は既に開発作業に入っているとのことであり、順調に開発が進めばこれまでとほぼ同じタイムスパンで利用可能になるでしょう。それまでの間、IBM i 7.2とIBM i 7.3にはTRという形で機能拡張、機能追加が行われることになります。TRのインタバールについては明言されませんでしたが、これまでと同様6ヶ月程度になるものと予想されます。

(注)IBM i 7.2の最新TR(TR8)のトピックスについてはこちらを、またIBM i 7.3の最新TR(TR4)のトピックスについてはこちらを参照してください。

Senior Management Consultant and IT Architect Pierluigi (Lou) Antonilli氏

IBM iの戦略

IBM iのお客様からの要望も10年前とは大きく変化してきており、モバイル、クラウド、ソーシャル、アナリティクスなどの新しい技術への対応、あるいはそれら新技術との連携機能が求められてきています。その中でも特にモバイルやクラウド技術への対応とアプリケーション・モダナイゼーションについての説明に特に力が入っているのが印象的でした。

IaaS、PaaS、SaaSなどのクラウド・サービスを使うかどうかに関係なく、将来のITシステムはクラウド技術に支えられたシステム基盤の上に構築されるとIBMは考えており、クラウド技術を積極的に取り入れる方向にあります。今回Rower9サーバーにはPowerVMが組み込まれ、PowerVCという仮想化管理ツールやIBM Private Cloudというクラウド・ネイティブ・アプリケーションの開発・運用基盤を構築するためのツールが用意されているのもそうした文脈で理解するべきでしょう。

また、モバイル対応という観点では、Rational Open Access: RPG版、DB2 Web Query for IBM i、IBM Navigator for iなどの製品を見れば、モバイル端末を念頭に新機能を提供していることは明白です。今日、ユーザー、システム管理者を問わず、いつどこからでもシステムにアクセスして必要なデータを取り出したり、システムを監視・管理したりできるのは当たり前の時代になっています。

アプリケーション開発という観点では、現在のトレンドはWebサービスに代表される必要な“サービス”をつなぎ合わせて処理をするというスタイルが主流になってきています。こうした“サービス”をベースにしたアプリケーションをIBM i上で実装するために、Integrated Web Services for IBM iは従来のSOAPに加えREST API対応など機能を拡張しています。さらに進化した“マイクロサービス”ベースのアプリケーション作りもオープン系のシステムではポピュラーであり、将来アプリケーションの多くはこうした“サービス”や“マイクロサービス”を使うことになると予想されます。このため、IBM iもこうした新しいアプリケーション・モデルに対応できるように機能強化が行われるとの話でした。

アプリケーションのモダナイゼーション

先に述べたとおりIBM iは最新のIT技術を取り込みながら進化し続けており、次世代サーバーの基盤に相応しい存在と言えます。問題があるとすれば、昔作られたアプリケーションがそのまま使い続けられているケースが非常に多いということでしょう。

ソフトウェア資産の保護を謳い、それを特長の1つとしてきたIBM iですが、

今IBMはアプリケーションのモダナイゼーションを積極的に推進しようとしています。その理由は、システム基盤の標準はいずれクラウド技術をベースにしたものに移行するという認識にあります。

ビジネスの俊敏性が重要視される現代においては、新規アプリケーションのみならず、既存のアプリケーションも新しい技術を取り入れてモダナイゼーションを行い、ビジネスの変化にアプリケーションを素早く対応させられるようにしておく必要があります。

ここで間違えてはならないのは、アプリケーション・モダナイゼーションが目指すのは、Web環境あるいはクラウド環境でも実行可能なアプリケーション作りだということです。アプリケーションのモダナイゼーションには、旧来のプログラム作りの考え方の根本的な変革が求められます。その第一歩は、プログラムの構造をモジュールやサービスプログラムといった小さな部品の組み合わせとして構築するというスタイルに改めることです。RPGプログラムであれば、ILE RPGのプログラミングスタイルに移行することが肝となります。

FF RPGはJavaなどの自由形式の言語に慣れた若いプログラマーが短期間でRPGを使いこなせるようにするためのものであり、言語そのものはモダナイゼーションの本質ではないことに注意する必要があります。FF RPGを使っていても、これまで通りのモノリシックな巨大プログラムを作り続けていては意味がありません。

今やIBM iで使用可能な言語は、RPG、COBOL、C、C++の他にJava、Node.js、PHP、Ruby、Pythonなどのオープンソースと多くの選択肢があります。モダナイゼーションに際しての言語の選択は “目的に最も適った言語を使用する”という当たり前の基準で行えばよいのです。IBM iでもそれが可能な時代になっているのです。たとえば、パフォーマンスを重視するのであればIBM iに最適化されているRPGを使用するのが理に適っていますし、ポータビリティを重視するのであればJavaを選択するのが良いでしょう。

アプリケーション・モダナイゼーションに関してもう一つ忘れてならないことは、データ設計の見直しです。IBM i 上で動いているアプリケーションでは、S/34やS/36の時代から受け継がれたフラットファイルがそのまま使われていたり、S/38やAS/400の時代のアプリケーションであっても十分に正規化されていないデータベースが使われていたりすることは珍しくありません。このような状態のままでは、データの整合性や一貫性を各アプリケーションプログラムで保証する必要があり、プログラム作成やメンテナンス作業が複雑化して作業工数も増えてしまいます。データの正規化を行った上で、SQLでDBの定義をすれば、データの整合性や一貫性の保証はDBMSに任せることができます。また、DBアクセスをSQLのビュー経由で行うよう標準化することで、プログラマーの属人性を排除すると同時にセキュリティの強化を図ることもできます。このように、データの正規化とDB管理の標準化により、プログラマーはビジネスロジックに注力することができるので、開発やメンテナンスの効率が向上します。これはまた、次に述べるMVCモデルとも密接に関係してきます。

新しいアプリケーションはMVCモデルで

アプリケーション・モダナイゼーションを行うにあたり、プログラム構造の標準化も重要なポイントとなります。プログラミングスタイルの標準形としてはMVCモデルを参照モデルとするのがお勧めです。ご存知のように、MVCモデルはオブジェクト指向が提唱され始めた頃からプログラム開発の参照モデルとして知られる実績のあるモデルであり、様々なフレームワークの参照モデルにもなっています。MVCモデルは、プログラムの責務をデータの操作つまりDBアクセスを担当するModel(M)、ユーザーインターフェースを担当するView(V)、ModelとViewの制御と仲立ちをするController(C)の3つに分離します。こうすることでプログラムの構造を分かりやくし、修正しやすいプログラムにすることができます。

開発法とツールのモダナイゼーション

アプリケーションのモダナイゼーションを行うには、アプリケーションの構造から見直す必要があることは既に述べたとおりです。これに合わせて、開発・運用・保守プロセスもモダナイズする必要があります。SEU、PDM、SDAといった旧来のツールからRDi (Rational Development Studio for i )やRTC (Rational Team Concert )のような新しい開発ツールに移行し、生産性を高めなければビジネスの変化に即応できるITシステムは実現できません。実際、こうした新しいツールへの転換により、プログラム開発の生産性を5~7倍向上させた事例もあります。もちろんRDiやRTCのようなIBM製品の代わりにGit、Orionといったオープンソースの開発ツールを利用するという選択肢もあるでしょう。さらに進んで、DevOpsに対応する機能全般を提供しているARCADのようなISV製品を使用することも考えられます。要は、新しい開発・運用モデルに適した環境を整えてこそ開発生産性が高められるということです。

大量の既存のアプリケーションをモダナイズするには、分析ツールや変換ツールの助けを借りる必要がありますが、これにはARCADやX-Analysis ProfessionalのようなISVソリューションが用意されています。たとえば、ARCAD Observer for IBM i は既存プログラムの分析を行い、入出力、データ関係モデル、プログラム依存関係などを明らかにすると共に変更の影響分析を支援します。また、ARCAD RPG Converter for IBM iはRPG Ⅳソース・コードを高い精度でFF RPGに変換してくれます。しかもこれらはRDiと統合させて使用することができるのです。

 

まとめ

セミナーに参加して印象的だったのは、IBM iの戦略としてシステム基盤にクラウド技術を積極的に取り入れてゆくこと及びアプリケーションのモダナイゼーションの重要性が強調されていたことでした。そのポイントをまとめると以下のようになります。

  • IBM iは最新のIT技術とりわけクラウド技術をIBM iの統合環境に取り込み続ける。クラウド技術は次世代のサーバーの基盤技術として不可欠である。
  • 古いアプリケーションはMVCモデルを参照モデルとしてモダナイズする。そうすることで、IBM iが提供する新技術を活用し、ビジネスを支える俊敏なITシステムが構築できる。
  • アプリケーション・モダナイゼーションの本質はプログラム構造を変革することにある。使用言語を何にするかは、目的が何であるかに依って決まるもので、モダナイゼーションとは分けて考えるべきである。
  • アプリケーション開発及び開発プロセスの考え方もモダナイズする必要があり、それに適した開発ツールを使用するべきである。
  • DB2 for iの機能を最大限活用するために、速やかに正規化されたDBに移行し、DBアクセスをSQLで標準化するべきである。

本セミナー資料は IBM Power Systems JPN : Power Systems テクニカル・ワークショップ 2018 にてダウンロードができますので是非ご活用ください。


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