【第7回】RPG Ⅳの歴史part2 秘密開発プロジェクトから正式プロジェクトへ | IBM i 総合情報サイト

【第7回】RPG Ⅳの歴史(part.2) 秘密開発プロジェクトから正式プロジェクトへ


2015/7/10 ジョン・パリス、スーザン・ガントナー

これはもともとIBM Systems Mediaで公刊されたiDevelopという(今は閉鎖されている)私たちのブログに投稿したものです。

私の大河小説の第1話「新しいRPGの誕生」は、OS/2とメインフレーム用に開発されたSAA RPGは、ことによるとAS/400用のILEコンパイラーの基礎になり得たという認識を示したところで終わりました。話は続きます。

秘密開発プロジェクトが、IBM社内でどのように進展するかをこのプロセスにまったく関わったことない人に説明するのは困難です。一方で、管理職は厳しいリソース予算に縛られていたため、「非公式な」プロジェクトにスタッフを利用できることは滅多にありませんでした。他方、管理職のマニュアルには、時々は正体不明の会議のために彼らのスタッフが「消える」という事実に目を瞑り、無視するべきであると書かれた秘密のページがあるという感触が常にありました。私たちがスタッフを集め、賦課コードなしにそのプロジェクトのために時間を費やすことができた等々の事実を説明する方法は他にありません。実際、このプロジェクトの初期に私たちが取り組んでいる事を「公式に」知っていた人物は私の上司だけでした。そして、彼はそれを彼の上司に黙っていました。

私たちが最初に行ったのは、私たちがやろうとしていることをただ議論し、組み込みたいと思っている機能や機構のリストを作成するためにシニア開発者のグループを集めることでした。グループ・メンバーの多数派は必ずしもRPGファンではありませんでしたが、彼らは全員AS/400にとってそれが重要であることを認めたということに注目するのは興味深いことです。核となる5人のグループにSAAコンパイラー・チームから、そしてRPG/400チームとPL/Iコンパイラー・チームから各1名のメンバーが集められ、時々そこに企画やアーキテクチャ・グループから他の人たちも参加しました。私はそのリストに載せた機構すべてについて詳述するつもりはありません。オリジナル文書の写しを持っていませんし、長い年月が経っているので今となっては覚えていません。しかし、そこには確かにもっと長いフィールド名やフリーフォームの式のようなものが含まれていました。この後者の機構は後にこの物語の中で重要なものになります。

私の考えでは、私たちが直面した最大の課題は、私を除いてチームの誰も生活のためにRPGプログラムを書いた経験がないことでした。彼らは皆コンピューター科学科の卒業生でした。ですから、私たちが何に取り組んでいるかを誰かに伝えることができなかった場合、私たちの設計目標が現実世界のニーズに適合しているという正当性をどうやって立証できたでしょう。それを行う唯一の方法は、RPGに明るくかつ機密保持契約なしにプロジェクトを秘密にし続けると信用し得るIBM社員のグループを世界中から集めることだと私たちは確信しました。ですから、そのグループを募集することが私の最優先の仕事になりました。最終的に、そのチームにはロチェスター研究所、英国IBM研修センターおよびオーストラリア研究所の人々、ならびに米国、イタリアおよびその他の国のシニアSEが加わりました。それは多岐にわたるグループでした。

この時点で、多くの物事が以下のことを含め同時に進行していました。

  • 私たちがSAA RPGグループから選任した人々は、どのようなものが必要になるかを理解するためにILE Cを介してコンパイラーを実行する実験を行い、そしてまたフリーフォームの式とキーワード駆動オプションが処理できるようにパーサーに対する追加機能を試していました。
  • 私たちは社内のRPGプログラマー集団によるレビューのために、ある基本的文書を正式なものにしようとしていました。
  • 私の上司は、このプロジェクトに正式に資金を提供し、マネージャーを割り当て、チームメンバーを訓練するために働いていました。
  • そしてまさにこの混成部隊に面白みを添えるために、ポール・コンテ(iProDeveloperの前身となるブログのテクニカル・エディター)は、プリプロセッサに通すことでRPG/400を生成するフリーフォームRPGの方言を発表しました。これはとりわけ興味深いものでした。というのも、フリーフォームが当時私たちの設計が目指していた方向だったからです。

今これを振り返って見て、非常に多くのことが同時に進行していたので、私が覚えている詳細がいかに少ないかということに驚いています。私は数えきれないほどの会議、財務的な正当化やその他多くのことを確かに覚えていますが、そのタイミングはすべて少し曖昧です。記録を付けておくべきだったと思います!

私たちが新しいRPGに求めていた姿が次第に形を現し始めました。レビュー・チームからは良いフィードバックを得て、次のステップ、つまり「外部の人」への設計のお披露目開始の段階、に移行する時がきました。

未発表製品について顧客に概要説明を行う許可を取ることがどんなに途方もない課題か完全に理解できるのは、IBMあるいは類似の巨大で秘密主義的な組織で働いたことのある人たちだけでしょう。おまけにその「製品」が世に出る保証がまったくない場合、その大変さは猶更です。最初の開発に対する財政的支援は決定されていたものの、コンパイラー作成に対する長期の確約はなく、いつでも支援は打ち切られる可能性がありました。私たちの計画を知るユーザーが増えるほど、IBMに対してコンパイラーを実現しろという圧力が高まるだろうと私たちは見ていました。ちゃんとすべての許可を取り、機密保持契約を結ぶのは非常にもどかしいものでしたが、できるだけ早く噂を広めるという既得権を私たちは手にしていました。

計画について概要説明をする対象として私たちが選んだグループは、主要なISVの代表から、業界紙、教育者、(S/36とS/38両サイドの)有名なRPGの権威に至るまで広範に及びました。全部で16人程のグループが、新しいRPGの計画について話を聞くためにトロントにやって来ました。

全体として設計は好評でした。いくつかの細かな点に関しては激しい論争が起きましたが、全体的には私たちが予期したほどの抵抗はありませんでした。予想通り、一部の人たちは他の人たちよりも設計の1側面であるフリーフォームという設計をより強く支持しましたが、新しいRPGはとても必要とされており、私たちは正しい方向に向かっているということに全員が同意しました。

次の2~3ヶ月に渡って設計は修正、更新され、改訂されたレビュー文書がIBMの社内レビューワーと外部専門家の両者に発送されました。同じ時期、RPG/400の機能拡張が無いことに対するユーザー・コミュニティからの雑音レベルは着実に大きくなって行きました。そのような訳で、設計は固まりつつあり、コンパイラー自体に対する作業も着々と完了していたので、私たちは今こそ「着物を開き」世界中のRPGコミュニティに私たちがやろうと考えていることを説明する時だと決意しました。

提案された機能の一部を強調するためにプレゼンテーション・チャートが作られ、私たちはそれらを顧客向け概要説明会、ユーザー・グループ会議、および世界中のその他の熱狂的ファンの集会で話していたアプロケーション開発プレゼンテーションに5分ないし10分の追加資料として含め始めました。もちろん私たちは、これは単に私たちがやろうと考えていることであり、実際には決して実現しないかもしれないということを常に明確に述べなければなりませんでした。

そして、物事が悪い方向に進み始めたのはその時でした。実際、状況は非常に悪く、一時はプロジェクトの存続を脅かすほどになりました。しかし、それについては次回のエピソードまでお待ちください。

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