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2024.01.09
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IBM iに対する先入観を払拭し、
若手技術者のFF-RPG学習意欲を高めて支えていく

IBM iに対する先入観を払拭し、<br />若手技術者のFF-RPG学習意欲を高めて支えていく
IBM iに対する先入観を払拭し、<br />若手技術者のFF-RPG学習意欲を高めて支えていく

IBMが運営しているコミュニティ活動であるIBM Community Japanでは業界や企業、世代の枠を超えたワーキンググループ (分科会) の仲間の輪にIBM社員も加わり、自主的に研究活動をするプログラムとして「ナレッジモール研究」を開催しています。
多種多彩なテーマに則した最新の情報の習得、スキルの向上を図り、メンバー相互の交流を深めることを目的として活動しています。
またその研究成果を広く公開し、「未来を創るテクノロジーで豊かな社会」の実現に貢献することを目指しています。
2023年におけるナレッジモール研究の一環として、分科会「IBM i 技術者の広場」の活動を担ってきた主要メンバー3名にお話を伺いました。

IBM Community Japan内「ナレッジモール研究」のページ
https://www.ibm.com/community/japan/jp-ja/knowledge-mall-research-application.html

人物

リーダー
岩井機械工業株式会社
中野 拓真 氏

サブリーダー
株式会社中部システム
牛田 吉樹 氏

ベル・データ株式会社
安井 賢克 氏

「IBM i 技術者の広場」が活動した2つのテーマ

――「IBM i 技術者の広場」はIBM Community「ナレッジモール研究」の中の「情報ビジネス研究」のひとつとして、IBM iのシステムを構築、開発、運用する際、後継者へスキルを継承するためには何が必要なのかを考察し、スムーズに技術継承を進めるために有用な技術情報や考慮点などを研究することを目的としているとお伺いしました。2023年の分科会はどんな方々がメンバーとして参加していたのでしょうか。

中野:厳密な意味でのユーザー企業のメンバーは3名でしたが、ソリューションベンダーやソフト開発会社の若手から大ベテランまで幅広い属性を持ったメンバー12名が参加しており、これに日本IBMのアドバイザー2名を加えた計14名で活動してきました。

――メンバーの皆様の所属会社は東京、神奈川、静岡、福岡と、かなり広範囲にわたっているようですが、どうやって活動してこられたのですか。

中野:すべてウェブです。コロナ禍以前のナレッジモール研究の各分科会はオフラインで集まって活動していたと聞きましたが、現在はSlack、Box、WebExなどのツールを使って完全オンラインで活動しています。これは決して悪いことばかりでなく、おかげで毎週のように集まることができました。

――かなり濃密なペースで活動してこられたのですね。活動の方向性が決まった経緯についても教えてください。

中野:周知のとおりIBM iを利用している企業の多くは、経験豊富なベテラン技術者によって支えられており、若手技術者の育成や世代交代が重要な課題となっています。そうした中で本分科会は、IBM iのシステムを構築、開発、運用する際、後継者へスキルを継承するためには何が必要なのかを考察し、スムーズに技術継承を進めるために有用な技術情報や考慮点などを研究することをテーマとしています。
この問題意識を共有する中でターゲットを若手技術者に定め、若手寄りのメンバーには「実際に業務で困ったこと」について、ベテラン寄りのメンバーには「初心者に伝えられていないと感じたこと」について、それぞれアンケート・投票を実施し、活動および成果物の方向性を検討しました。

図1:テーマ決めに際しての分科会メンバー間アンケート結果

▲図1:テーマ決めに際しての分科会メンバー間アンケート結果

その結果、メンバーの関心の高さや限られた1年間の活動期間内での実現性も考慮した上で、「IBM i はレガシーなシステムであるといった固定観念を払拭して若手技術者の動機付けを行う」「IBM i 未経験者向けにFF-RPGのサンプルプログラム集を作る」という2つのテーマで、メンバーの意見がまとまりました。

IBM i 入門者の「バイブル」を作ることを目指した

――2つのテーマについて、さらに詳しいお話を伺えたらと思います。まずはIBM iに対する先入観の払拭と、初心者の動機付けのために、具体的にどんな活動を行ってきたのか教えてください。

安井:少し大袈裟な表現かもしれませんが、IBM i 入門者の「バイブル」を作ることを目指しました。世間のIBM iに対する関心度を高め、学びたいと考える技術者の母数を増やすためにも、初心者向け情報を充実させるべきと判断したのです。
もちろんIBM i のコミュニティにも、すでに多くの公開情報がありますが、「体系化されておらず、複数のサイトに散在している」「歳月の経過とともに探しづらくなり、埋もれていく」といった問題を抱えているのが現実です。そこで可能な限り有用なコンテンツを掘り起こして体系化するとともに、各コンテンツに概要文を付けて参照しやすくしました。
あちこちに散在していたコンテンツをカテゴリー別に整理してQiita上に集約し、インデックスを付けて公開するという発想でまとめていきました。

「IBM i 初心者向け情報記事一覧」
https://qiita.com/ibm_knowledge_mall/items/9ad69f32743a5c0481e4

なおカテゴリーとしては、「製品の位置付け(製品としてのIBM i の概要)」「アーキテクチャとその背景(IBM i のテクノロジーやセキュリティー)」「アプリケーション開発(FF-RPGや開発環境など)」「その他(コミュニティ活動やIBM iの歴史など)」の4つを用意しています。

――私も試しにQiitaから皆様の成果物を閲覧させていただきましたが、多くのコンテンツがわかりやすく整理されており、目的の情報にとても簡単にたどり着けるようになったと感じました。

安井:ありがとうございます。本当は私たちが体系化して公開したコンテンツや概要文が、若手技術者たちの間で実際にどれくらい役立ったのかを知るため、グルメサイトに見られるような星の数で評価する仕組みやクチコミ機能なども実装したかったのですが、1年間の短い分科会活動では残念ながらそこまで手が回りませんでした。

EOL/400をベースにFF-RPG仕様のサンプルプログラムを作成

――もう1つのテーマであるFF-RPGのサンプルプログラム集についても、どんな活動を行ってこられたのかお聞かせください。

中野:先にも述べたようにIBM iの技術者不足が叫ばれる中で、FF-RPGの言語仕様そのものは、「オープン系の技術者でも抵抗が少ない」「わかりやすい」と多くのユーザーから高く評価されています。ただ一方で、「学習用のサンプルプログラムがない」といった不満の声を聞くことも珍しくありません。
「ならば我々で作ってはどうか」「あれば便利だよね」とメンバーで盛り上がったのが、そもそもの活動のきっかけです。

牛田:とはいえ何本ものサンプルプログラムをゼロから作っていくのは、さすがに分科会活動では負担が重すぎます。そうした中で思い出したのがIBM iがまだAS/400と呼ばれていた時代に、RPG言語学習のスタンダードとして活用されていた「EOL/400」です。
EOL/400に掲載されているサンプルプログラムをFF-RPG仕様に変換し、成果物をQiitaおよびGitHub上に公開し、IBM i の学習者の利便性を図ることとしました。この基本方針が固まったことで、活動は大きく前進しはじめました。
なお、EOL/400 の著作権は株式会社アイ・ラーニングにあるため、分科会での一連の作業内容と成果物の掲載について事前にアイ・ラーニング社からの利用許諾を得ています。

――実際にどんなサンプルプログラムを用意したのでしょうか。

牛田:バッチ演習問題が3本、対話型演習問題が2本の計5本です。やはりFF-RPGでもバッチ処理による帳票出力や、画面入力を行うためのプログラムを作成するケースが多いことを考慮しました。
問題形式の最終ステップで解答例としてサンプルプログラムを提示するとともに、各プログラムの解説記事も作成しています。

――解説記事はどんな内容になっているのですか。

牛田:たとえばステートメント順序の柔軟性や、画面における固定形式と自由形式の違いといった解説を行っています。
また加算系の「Z-ADD」「ADD」、減算系の「Z-SUB」「SUB」など、いくつかの演算命令は自由形式では許可されていないため、別の記述に書き換える必要があります。こうした固定長RPGではよく使われてきたが、FF-RPGで許可されていない記述についても別途まとめて解説しています。
あわせてGitHubに不慣れな読者のために環境構築記事も作成しました。

固定長RPGでよく使われるが、FF-RPGで許可されていない記述のまとめ

▲図2:固定長RPGでよく使われるが、FF-RPGで許可されていない記述のまとめ

「FF-RPGサンプルコード Indexページ」
https://qiita.com/ibm_knowledge_mall/items/fe48a85daf1e969e70cb

成果物を風化させないため自主的な活動を継続

――2月のキックオフから9月の成果物の提出(活動報告)まで、実質半年程度しかない研究活動の中で、非常に多くの成果を上げたことがよくわかりました。この活動を今後どのような形で継続していかれるのでしょうか。

中野:2023年の分科会活動はこれで終了となり、2024年も同じテーマで活動するかどうかも未定ですが、いずれにしても作って終わりでは意味がありません。今回の2つの成果物が一過性のものにならないように、分科会とは関係なく自主独立した形で活動を継続し、これまでまとめてきたコンテンツや解説記事の修正・追加、サンプルプログラムの追加などを行っていくためのスキームを検討しました。
今年のメンバーがいつまでもメンテナンスし続けられるとは限らないため、私たちの意義に賛同する方から連絡を受けられるようメールグループを作成するとともに、新たなメンバーの受け入れ体制を整えています。

――私どもiWorldでも、皆様の成果物のプロモーション活動に微力ながら協力させていただきたいと考えています。

中野:ありがとうございます。せっかくの成果物を決して風化させないため、各メンバーに極力負担がかからない形での体制の整備を進めていきます。

――2023年11月15日から、すでに2024年の「IBM i 分科会」の募集も始まっています。こういったコミュニティ活動がもっと広く知れ渡り、多くの人に関心を持ってもらえるようになることを切に願っております。
本日はありがとうございました。

参考:

「2024年のナレッジモール研究について」
https://www.ibm.com/community/japan/jp-ja/knowledge-mall-research-application.html#theme

併せて読みたい:【ここにもIBM i 情報】EOL/400のFF化とIBM i 初心者向け情報記事一覧 on Qiita
https://www.i-cafe.info/column/product/kokoi_eol400_ff

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