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2023.09.06
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【インタビュー】株式会社プライム、セブンシステム株式会社
岡山と京都の中堅ソフトハウス2社がIBM iの開発アライアンスをスタート
若い世代のRPG技術者を活かし、新たな受託開発ビジネスに挑戦!

【インタビュー】株式会社プライム、セブンシステム株式会社<br />岡山と京都の中堅ソフトハウス2社がIBM iの開発アライアンスをスタート<br />若い世代のRPG技術者を活かし、新たな受託開発ビジネスに挑戦!
【インタビュー】株式会社プライム、セブンシステム株式会社<br />岡山と京都の中堅ソフトハウス2社がIBM iの開発アライアンスをスタート<br />若い世代のRPG技術者を活かし、新たな受託開発ビジネスに挑戦!

IBM iでの受託開発をメインとする中堅ソフトハウスである株式会社プライムとセブンシステム株式会社の両社が、このたび業務・資本提携を前提とした開発アライアンスをスタートさせました。この背景にはどんな狙いがあるのでしょうか。また、この開発アライアンスを進めていく上で、両社が中心的な戦力として注力している若い世代のRPG技術者の育成および活用について、株式会社プライム 代表取締役 五町 誠様、ならびにセブンシステム株式会社 代表取締役社長 青山 薫様にお話を伺いました。

よく似た特徴を持つ中堅ソフトハウス プライムとセブンシステム

――プライム様とセブンシステム様について、まずは順番にそれぞれの企業プロフィールをお聞かせください。

▲ プライムの五町社長と三浦開発統括部長


五町:弊社プライムの設立は1988年で、岡山市北区に本社を構えています。2023年4月現在の従業員数は52名。内訳はシステムエンジニア24名、プログラマー20名、総務・営業が8名です。システム構築サービスとマイグレーションサービスを事業の柱としており、そのほかインフラ構築サービス、プロダクツ提供サービス、クラウドサービス、運用保守サービスなども手掛けています。

▲ セブンシステムの青山社長と出路専務


青山:弊社セブンシステムの設立は1991年です。従業員数は30名ほどですが、京都市下京区の本社のほか、東京(東京都港区)と大阪(大阪市西区)にも支店を展開しています。システム開発、ソフトウェア保守、アウトソーシング、ネットワーク構築、ハードウェア販売、パッケージ開発・販売、開発支援などを手がけていますが、事業の柱はやはりシステム開発で、受託開発を主体に近年ではSES(システムエンジニアリングサービス)ビジネスにも力を注いでいます。


――両社の特徴や得意技についても教えていただけますか。

五町:プライムの特徴として、技術者の“若返り”を挙げることができます。先に述べたとおり弊社は設立から35年が過ぎたこともあり、世代交代が進みつつあります。
こうして増えてきた若い世代の技術者を中心に、幅広い言語に対応しています。RPG(RPG Ⅲ、RPG Ⅳ(ILE)、フリーフォーマット、RPG S36)とCOBOLをメインとしつつ、オープン系のVB.NET、C#、ASP.NET、Java、PHP、GeneXus、Delphiなどにも対応。さらにDB2/400やDB2をはじめ、Oracle、SQL Server、Accessといったデータベース製品のスキルも保有しています。
この幅広い技術力を活かして、近年ではUNISYSや日立製作所、富士通などのベンダーが提供してきた汎用機からIBM iへのマイグレーション実績も増えています。COBOLからCOBOL、JCLからCLへの移行を基本としていますが、その他の特殊な言語から移行を行った事例もあります。元の言語マニュアルさえあれば、「何とかする」というのが弊社の基本スタンスです。

青山:セブンシステムもプライムとよく似た特徴を持っています。RPGをはじめVB.NET、C#、ASP.NET、Java、Delphi、PHPといった幅広い言語に対応し、DB2/400、Oracle、SQL Server、Access、PostgreSQLなどのデータベース製品、XupperやGeneXus、PrintPro、WebReport、Qanatなどの開発環境、OS/400やWindows系を含む実行環境に精通した技術者がシステム設計・開発、アプリケーション開発にあたっています。
なお弊社は日本IBMのビジネスパートナーであるとともに、ユーオス (UOS) グループやiBIアライアンス、オープンソース協議会といった業界団体にも加盟し、社外活動を行っています。

IBM iに関する開発アライアンスの概要と目標

――よく似た特徴を持つというプライム様とセブンシステム様ですが、今回この両社がIBM iに関する開発アライアンスを結ぶことになったと伺いました。その概要ならびに提携合意にいたった背景をお聞かせください。

五町: 今回の開発アライアンスの狙いは、同等規模の中堅ソフトハウスであるプライムとセブンシステムの両社が手を組むことで、エンドユーザーの多様性に対応し、共に一層の成長を目指すことにあります。2023年4月より開発アライアンス協業会議を立ち上げ、年度内に業務・資本提携を締結することを前提として、今秋より実務での協業を行っていきます。
また、たんなる“人貸し”ではない、スキルの共有、人材交流も図っていきたいということで、この開発アライアンスでは若手技術者の育成も大きな目標のひとつとしています。ソフトハウスの多くが、プログラマーを中心とした人材派遣型SESの比重を大きくしていく中で、私たちは受託開発やチームプロジェクトへの参画こそが若手技術者の育成の場になると考えています。開発アライアンアスを通じてその機会を拡大することで、SESと受託開発のバランスの適正化を図っていきたいと考えています。

青山:これらの目標の背景にあるのは技術者不足の問題です。お客様のご要望に遅滞なく対応するためには、長期的な視野に立った組織体制を整える必要があり、互いに強力なパートナーシップの相手を求めていました。両社とも創業時からIBM iでの受託開発をメインとしており主要なお客様層が比較的近く、企業文化もよく似ていることを重視しました。今後のアライアンス拡大に関しても、少数精鋭の実戦の場とすることを第一義としています。

五町: 両社が「よく似ている」という点について、少し補足させてください。企業規模や業態、文化が似ているのはまさにその通りですが、得意とする技術には細かな点で違いがあります。たとえばセブンシステムさんはDelphiなどのオープン系言語にも独自の強みを持っており、弊社から見ても大きな魅力となっています。
たんに開発リソースが足りない、だけではない、スキルの融通も狙ったアライアンスなのです。これは、まったく社風の異なるオープン系が得意な会社さんですと、まず話が合わないのでうまくいかないと思います。
このアライアンスでお客様のご要望に対し、「開発リソースがありません」「そのスキルがありません」とお断りすることもなくなることを期待しています。

――それぞれの得意分野で、技術面でも相互補完が成り立つのですね。

五町:そういうことです。

――今後この開発アライアンスは、どのように進んでいくのでしょうか。

青山:大まかには次のような中期目標を示しています。まずフェーズ1として、2024年3月までに両社を中心に100名程度の人材リソースを共有する開発アライアンスを実現します。そしてフェーズ2として、協業オペレーションを確立しながら3年以内(2026年3月頃まで)にアライアンス規模を300名程度に拡大したいという構想を描いています。

出路:人材リソースの共有だけでなく、若手技術者の育成のために、近いうちに未来志向の勉強会などもIBMの支援を得て開催していければと考えているところです。

五町: さらに現時点ではまだ個人的な願望のレベルですが、本開発アライアンスを将来的には営業活動における協業や、事業継承を見据えた次世代経営者の育成などにも発展させていけたら、という思いを持っています。

RPGを用いた受託開発の主力メンバーは20~30代前半の若手技術者

――先ほどプライム様から、「技術者の世代交代が進んでいる」というお話もいただきました。現在、IBM i市場ではRPG人材の高齢化が問題となっていますが、プライム様では実際に若い世代の技術者がRPGを用いたシステム開発にあたっているのでしょうか。

三浦: 弊社の技術者全体の平均年齢は、なんとか40歳代を下回るといったところですが、RPGを用いた受託開発の主力メンバーが20~30歳代前半の若手技術者に移っているのは事実です。具体的には20歳代が11名、30歳代が13名です。一方で60歳代の技術者もまだ多く残っており、世代交代が進んでいる過渡期にあるため、数年後には平均年齢は35歳くらいまで下がると見ています。

――60歳代の技術者と言えば、IBM iがまだAS/400と呼ばれていた時代のRPG第1世代の方々ですよね。そういったレジェンド的な技術者から若い世代の技術者に着実にバトンが渡っているのは、本当に素晴らしいことです。開発アライアンスにおいても、貴重な戦力となるのは間違いありません。
とはいえ一方で、他のソフトウェア開発会社からは、「若手技術者にRPGを担当してほしいと命じた途端に辞めてしまった」といった悲しい現実を聞かされることもあります。プライム様ではどうやって若い世代のRPG技術者を育成し、定着化を図っているのでしょうか。秘訣があれば、ぜひ教えてください。

三浦: たしかに大学や専門学校などでオープン系の言語を学んできた若い技術者にとっては、RPGと聞くとどうしても昔の言語というイメージがあり敬遠しがちかもしれません。ただ弊社は新卒採用にあたってプログラミング経験の有無や出身学部・学科などは一切問わず、なおかつ募集の時点で「RPG必須」と明言しているので、入社後に不満の声を聞くこともありません。特にプログラミング未経験者にとっては個別の言語に対する先入観がないだけに、RPGやCOBOLについても抵抗感なくすんなり受け入れて、学んでくれていると感じています。実際に若手技術者がRPGについてどんな感想を持っているのか、弊社入社2年目の西原と、セブンシステム入社7年目の田畑さんに、ぜひ直接聞いていただけたらと思います。

▲ 株式会社プライム西原氏とセブンシステム株式会社田畑氏 フレッシュなお二人

――ありがとうございます。さっそくですが、西原さんは入社していきなりRPGでプログラミングと言われて、どのように思われましたか。

西原: 私もプログラミング未経験でプライムに入社したので、RPGに対する先入観や不満はありませんでした。新入社員研修では他にもCOBOLやVB.NETといった言語を学びましたが、それらの中でもRPGは記述がとてもシンプルで、他人が書いたプログラムでも読みやすいのがメリットで、一番学びやすかった気がします。

――その意味ではIBM iというプラットフォームについても、特に先入観はなかったのでしょうか。

西原: はい。まったくありませんでした。むしろ知れば知るほど、IBM iが好きになっていきました。国産メーカーが次々に汎用機から撤退していく中で、IBM iは10年先のロードマップも示された信頼感があります。そうした将来性のあるプラットフォームのスキルを身に付けることは、技術者として個人的にも安心感があります。

――日本IBMの販売パートナーとしてIBM iビジネスを手がけているイグアスの立場からも、西原さんの言葉にとても嬉しくなります。田畑さんもプログラミングは未経験でセブンシステムに入社されたのでしょうか。

田畑: おっしゃるとおりです。出身学部は理系なのですがプログラミングの経験はなく、入社後にコンピュータの初歩から学ばせていただきました。

――その意味で、最初に触れた言語がRPGだったことはどのように思われますか。

田畑: プログラミングの“いろは”をRPGで学べたことは本当に良かったと、振り返ってみてあらためて思います。西原さんの言葉にもありましたが、RPGは非常に記述がシンプルなだけに、ロジックを整理して実装するのにとても適しています。現在はVB.NETやJava、PHPといったオープン系の言語を使ったシステム開発にも携わっていますが、RPGを通じてプログラミングの基礎を固めていたおかげで、言語が変わってもあまり苦労することなくスムーズに対応できています。

――RPGはまさに入門用の言語として最適だったのですね。

本日はプライム様とセブンシステム様の開発アライアンスから若い世代のRPG技術者の育成まで、幅広い貴重なお話を聞かせていただき本当にありがとうございました。
当アライアンスがIBM i 次世代技術者育成のひとつのモデルケースになっていくことを強く願っております。

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