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IBM i 技術解説 IBM i 技術解説
2022.10.28
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進化するIBM i 高可用性ソリューション Db2 Mirror for i

進化するIBM i 高可用性ソリューション Db2 Mirror for i
進化するIBM i 高可用性ソリューション Db2 Mirror for i

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジーサービス
サーバーソリューション
茂木 映典

サーバーにおける高可用性環境

サーバーにおける高可用性環境にはいくつかのタイプがあります。図1で示すように3つの代表的な構成があります。図中の構成は分かりやすくするために共有ディスク構成で記述しています。実際には様々なディスク構成を適用することができます。


図1. 高可用性構成とポジショニング

  1. Active/Active Clusteringは、複数のノード(VM)が同時にアクセス可能で、片側のノードが停止してもアプリケーションの再起動などする必要がなく、継続的に利用可能である構成を指します。今回ご紹介するDb2 Mirror for iもこのタイプのソリューションです。
  2. Active/Passive Clusteringは複数のノードがいずれも稼働中であるものの、各ノードは役割が決まっており、1つのノードを本番(Active)、他方のノードを待機(Passive)と位置付けた構成です。通常は本番ノードにてアプリケーションを実行しますが、障害時には待機ノードに切り替えることで、アプリケーションの継続性の維持を図ります。このタイプの構成では一般的に障害時はノードのロールの変更が発生するため、アプリケーションには一定の停止時間が発生します。IBM iにおいてはPowerHA製品や各ベンダーから提供されているリモートジャーナル機能など論理複製を活用したソリューションがこのタイプと言えます。
  3. Active/Inactiveは、障害時に備えてHW筐体を用意しておきますが、通常その筐体上にはOSなどの待機環境は用意しない構成を指します。本番ノードの障害時に当該ノード上で稼働していたOSやアプリケーションを待機HWへ移行し、再起動するような動きとなります。IBM i においてはPowerVMで実装されているLPM(Live Partition Mobility)などがこのタイプのソリューションです。

IBM i 7.5におけるDb2 Mirror for iの新機能

今回ご紹介するDb2 Mirror for iは、IBM i 7.4で初めて実装されたIBM i初のActive/Active Clusteringの機能を実装したソリューションになります。図2のように継続的な可用性を実現するためにRoCE (Remote Direct Memory Access(RDMA) over Converged Ethernet)ネットワークで接続することで、Db2 for iの高速同期レプリケーションを実現しています。この上で2つのノードが同じファイルにアクセスすることでアプリケーションの可用性を実現しています。また、計画的なメンテナンスやノード障害に対応するために1つのノードにアクセスを集約させることも可能です。Db2 Mirror for iはデータセンター内の高可用性ソリューションと位置付けられており、2つのノード間の距離に制約があります。


図2. Db2 Mirror for iの概要

Db2 Mirror for iはPower8以降のIBM PowerサーバーでIBM i 7.4以降のバージョンでサポートされます。発表初期においては外部ストレージ環境のみのサポートでしたが、現在はSAS接続のSSDやNVMe構成の内蔵ディスクもサポートされます。
 Db2 Mirror for iの概要については、【できる IBM i 7.4 解剖】第1回「Db2 Mirror for i の概要」に詳しい解説があるのでこちらを参照ください。

2022年5月にIBM iの最新バージョンである7.5が発表、リリースされました。この発表にDb2 Mirror for iのアップデートがいくつかありますので、ご紹介します。

・Active/Read Only Clusteringのサポート

Db2 Mirror for iは高可用性ソリューションとしてActive/Active Clusteringの技術を採用していますが、IBM i 7.5では強制的に片方のノードを読み取り専用ノードとして設定できるようになりました。この環境ではオブジェクト及びデータに対する変更は、1次ノード (Activeノード)からのみ実行することができます。これにより2次ノード(読み取り専用に設定されたノード)でのオブジェクト及び変更を禁止することができ、間違った変更や削除などの操作を防ぐことができます。図3のように2次ノードはデータの参照などに使用することができますので、ユーザーの照会アプリケーション、Db2 Web Queryなどのデータ照会ツールからデータの照会を行うことができます。 障害発生などで1次ノードが利用できなくなった場合は、2次ノードをActiveノードに切り替えることができます。 Active/Read Only Clusteringの構成は、2つのノード両方がIBM i 7.5で構成されている必要があります。


図3. Active/Read Only Clustering

・複数リリースの共存環境のサポート

IBM i 7.5でサポートされるDb2 Mirror for iは複数リリースの共存をサポートします。これは現時点ではIBM i 7.4と7.5の共存をサポートすることを意味しています。これにより、IBM i 7.5へのアップグレードが必要になった場合でも、2つのDb2 Mirror for iノードを同時にアップグレードを行う必要がないため、アップグレード時のシステム停止時間を短縮することが可能になります。
複数リリース共存環境では考慮点があります。上位レベル(IBM i 7.5)の機能拡張に関する複製については、下位レベル(IBM i 7.4)では失敗することに気をつけてください。Db2 Mirror for iの環境においてIBM i 7.5の新機能を利用するには、双方のノードがIBM i 7.5になることを待つ必要があります。下位レベルから上位レベルのシステムへの複製は失敗しません。


図4. 複数リリースの共存環境のサポート

・ノード間の距離の拡張

IBM i 7.4発表時のDb2 Mirror for iのノード間の距離は、最大200mでしたが、IBM i 7.5では最大10kmに拡張されました。このサポートを利用するためには、PCIe4 2-port 100Gb Crypto Connectx-6 DX QFSP56アダプターを使用してRoCE接続を構成する必要があります。詳細はIBM Documentationを参照してください。

このほかにもIBM i 7.5のDb2 Mirror for iでは、様々なアップデートがされております。興味のある方は、IBM Documentationをご覧ください。

Db2 Mirror for iの考慮点のおさらい

 Db2 Mirror for iはIBM iで初めてのActive/Active Clustering技術を実現したソリューションです。2つのノード内のオブジェクトやデータは同期がとられ、オブジェクトおよびデータの整合性がとられるような設計になっています。PowerHAや論理複製ソリューションの同期モードと同様、ノード1で行われた追加/更新/削除操作は、同時にノード2に反映されますので、両ノードへの操作が完了するまでアプリケーションは待機することになります。そのため、以下の要素が加わりますので、シングルノードや他のHAソリューションの非同期モードと比較すると応答時間が伸びることになります。

  • ネットワーク転送時間 (ノード2への転送時間 + ノード1への同期完了通知)
  • ノード2でのI/O時間

I/Oが多くなるとこの時間が大きくなりますので、夜間バッチなどによる大量のデータの書き換え作業がある場合には、バッチ処理時間が長くなる可能性があるため注意が必要です。 IBM テクノロジーサービスでは、海外の複数のお客様でDb2 Mirror for iの適用について検証を行っており、そこで得られた知見を製品に反映することで、Db2 Mirror for iの品質向上に努めています。また、現在ご利用中のシステムがDb2 Mirror for iによる高可用性化に適しているかどうかをアセスするサービス(有償)を提供させていただいております。Db2 Mirror for iによる高可用性に興味がありましたら、ぜひご相談ください。

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