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2016.10.28
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開発責任者に聞く!IBM i はどこへ進む?IBMの本気度は?

開発責任者に聞く!IBM i はどこへ進む?IBMの本気度は?
img_steve01 かつて一世を風靡したミッドレンジ・コンピューター、AS/400。同シリーズはその後、iSeries、System i と名前を変え、いまはIBM i として企業の情報システムを支え続けています。そんなIBM iは、歴史があるだけに「今後も投資され続けるのか」という不安を抱えるユーザーがいるのも事実。今回は、IBM i の開発責任者(IBM i Chief Architect)であるスティーブ・ウィル氏に、ユーザーが気になるIBM i への投資についての質問をぶつけてみました。

IBM i への投資はどのように続くのか

――情シス部門としてはIBM iの安定稼働は非常にうれしいですが、ITの潮流を見たときに、IBMが他の分野に注力投資するのではないかという不安があります。IBM iに対する投資については、どのように考えていますか?

始めにはっきりと申し上げます。IBMは今後もIBM i に投資を続けていきます。2013年にAS/400発売25周年を祝う機会がありましたが、その際にPOWERのジェネラル・マネージャーであるダグ・べーロックがIBM i に投資を続ける理由を話しました。 それはIBM iのユーザー企業がIBM i を使い続けるという姿勢を示してくれていること。IBM iのユーザーは、ほとんどが中小~中堅の企業です。ただ、テクノロジーの潮流に敏感な大手企業においても、数百社でIBM iは使われています。これらのユーザーがIBM iを使い続けるスタンスでいることは、IBMがIBM iから離れることなく、投資を続ける大きな理由となっています。 また、ダグ・ベーロックが今後10年のロードマップを発表したことにも、IBM iへの意気込みが表れています。通常は四半期ごと、つまり短期的視野でしか計画を発表しません。しかし、敢えて10年の投資プランを発表している。ここには大きな意味があります。ユーザー企業に対して、今後もIBMはIBM i 、POWERにも投資していくことを、トップが確約したといえるでしょう。

IBM i 7.3 の新機能はどんなところが好評なのか

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――IBM i 7.3の機能の中で、ユーザーからの反響が大きなものを教えてください。

3点あります。1点はデータベース機能の向上です。これは企業のエグゼクティブにとって、とても好ましい進歩です。なぜなら、ビジネスに関するデータを分析する際に、新たに時間軸を持てるようになったからです。つまり過去をベースに未来を推測することが、より可能になってくるということです。ビジネス・アナリティクス分野における進化はユーザー企業にとっての強力な武器となります。 2点目はOSに統合されているセキュリティー機能(Authority Collection)です。セキュリティー管理が適正であり、各ユーザーに必要以上の権限を与えないことが重要です。当機能は、ユーザーが実際に利用している権限を追跡し、さらにユーザーがどのような権限を持っているか、そのユーザーが日々の業務をおこなうのに最小限どれほどの権限が必要かを報告することができます。これによって、たとえば監査機関や政府に対しての説明責任を果たすということも可能です。 3点目はオープンソースへの対応、RPG言語への投資です。フリーフォームで使えるRPG(フリーフォームRPG)の対応により、若いユーザーたちが今慣れ親しんでいる言語やツールのノウハウをそのまま使って、開発・運用をすることができるようになりました。

急速に拡大しつつあるフリーフォームRPGユーザー

――フリーフォームRPGのユーザーはどのくらい増えてきていますか?

RPGのフリーフォーム化は、ここ10年の機能強化の中で、最も速く取り入れられ、広まったものといえます。フリーフォームRPGを教えるクラスやコンサルタントの増加や、若手技術者がRPGを使って数多くのプロジェクトを手がけることにより、急速に広まりました。米国でも欧州でも同じような現象がみられます。若手プログラマーにとって、RPGの敷居がグンと下がっているのではないでしょうか。PHP、C、Perl経験者にとって、オブジェクト指向のjavaやC++よりも入りやすいはずです。

クラウド・テクノロジーをどう活用するか

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――多くの企業がクラウド化すべきか悩んでいると思います。この点はどう考えますか?

すでに多くのIBM iのビジネス・パートナーがプラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)として、IBM iを使ってクラウド環境を提供しています。ユーザー企業はこれを活用することができます。アプリケーションによってはクラウドとの親和性が高いものもあるでしょう。 しかし、IBM i の上には基幹業務を支えるさまざまなデータがあります。ビジネス上の判断としてオンプレミスのIBM i を使い続けるというケースも多いのが現状です。特に金融やヘルスケアの企業では、自社でしっかりとコントロールできる環境が必要ですが、現在のクラウドのテクノロジーではそこまで管理するのは難しい。 そこで両者の長所を活かしたハイブリッド・クラウドという考え方が出てくる。オンプレミスでしっかりとした管理をしながら、柔軟性のあるパブリック・クラウドを活かしてシステムの可能性を拡げるのです。このようなクラウドの概念は今後浸透していくと思います。

IBM i はビジネス・ニーズ、ビジネス・ソリューションのことを考えて作られている

――IBM i ユーザーへのメッセージをお願いします

IBM i のチーフアーキテクトとして伝えたいことは、IBM i は常に企業のビジネス・ニーズ、ビジネス・ソリューションを考えて開発されているということ。そのため、IBM i というひとつのコンピューティング・システムにさまざまなテクノロジーを統合してあります。 現在の情報システムの流れとして、SoRからSoR+SoEへの移行が叫ばれています。IBM i は、SoE的な使い方をすることも見越して設計してあります。IBMはいつも未来のソリューションを見据え、必要とされるテクノロジーを統合した形で提供しているのです。AS/400時代にオールインワンの思想で作られたIBM i は、まさにその好例ではないでしょうか。
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