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今こそ、ローコードを考える 今こそ、ローコードを考える
2021.01.06

【今こそ、ローコードを考える】第1回 ローコードの背景

【今こそ、ローコードを考える】第1回 ローコードの背景

LANSAは30年余りにわたり、一貫してAdvance Software made simpleを掲げてIBM i やWindows環境の開発の一翼を担い、ローコード開発環境を提供してきました。

そして、いろいろな意味で大きく環境が変わる昨今、開発環境についてローコード(Low-Code)への期待が日本でも高まっています。

今回のシリーズでは、ローコードのテーマを中心にLANSAを紹介させていただきます。

  • 第1回 ローコードの背景
  • 第2回 ローコードの要素
  • 第3回 ローコードの理想と現実
  • 第4回 LANSA V15のハイライト
  • 第5回 LANSAのPWA(プログレッシブWebアプリケーション)

第1回は、「ローコードの背景」を改めて紹介させていただきます。

ローコードの紹介

ローコード開発プラットフォームでは、従来のコンピュータープログラミング言語で開発するより少ないプログラムコードで、アプリソフトウェアを作成できます。ソフトウェア開発は通常、長く複雑なプロセスで、アプリのコストを削減、開発を加速するというローコードへの期待は、多忙なIT部門にとって非常に魅力的な提案になっています。

Forresterリサーチは2014年に「ローコード」という言葉を生み出し、それに対し次のような開発プラットフォームを定義しています。

最小限の手作業のコーディングと、最小限のセットアップ、トレーニング、展開の先行投資で、ビジネスアプリを迅速に提供

アプリ開発ツールの多くのプロバイダーは、プログラミングコードではなくグラフィカルユーザーインターフェイスと構成オプションをユーザーが使用できるようにすることで、「ノーコード(No Code)」のアプローチを提供しようとしています。これらのシステムは、部門内のニーズを満たすためのシンプルなアプリの開発に役立ちます。しかし、これらのツールを使用して構築されたアプリは、企業全体のITのニーズを満たせないこともあります。

通常、一部のコードは、機能を拡張したり、既存のシステムと連携したり、既存のアプリコンポーネントを利用したりするために必要です。したがって、実際には「ノーコード」ではなく「ローコード」ということになります。今回は、ローコードのエンタープライズ・アプリケーション・ソフトウェア(以下アプリ)開発のため改革の可能性を紹介します。

テクノロジーを活用して競争上の優位を得ようとする企業が直面する課題と、この課題に立ち向かうIT部門にとっての意義について説明します。さらに、ローコードプラットフォームを選択するときに探すべき上位5つの事項を示し、最後にローコードソフトウェア開発の期待を実現する方法を検討します。

企業アプリにおけるローコード開発の課題

ビジネス

ビジネスは、これまでのどの時代よりも速いペースで変化しています。新規参入者は、何十年も変化がない既存の業界のルールを破壊し、市場を混乱させています。

既存の現実と戦うことで物事を変えることはできない。
何かを変えるには、既存のモデルから脱却し新しいモデルを構築する。
– Buckminster Fulle

市場の現業者と新規参入者の両方にとって、新しいモデルの構築は時間のかかる努力目標です。競争の主導権を得て、新しい高成長市場のリーダーとしての地位を確立する。多くのビジネスリーダーは、テクノロジーを利用してこの革新を実現する方法と考えています。新しいモデルを創出し、テクノロジーを利用してそれらを迅速に確立し、機能させる。そしてコストを最小化し、利益を最大化します。

しかし、過去に確立されたビジネスモデルの場合、革新に取り組むことで更なる課題が表出します。革新により、既存のプロセス、役割、システムを完全に再考する必要に迫られます。将来のビジネスモデルをサポートするために、新しいシステムアプリが用意される時に、レガシーシステムが不要になることは多くありません。既存のビジネスをサポートしつつ、新しいビジネス環境を作成するためのITの仕事の量は、多くのIT部門が対処できる範囲を超えます。

ソフトウェア開発者に対する世界的な需要は、供給を上回っている。 この状況が続き、ソフトウェア拡張機能と 新しいアプリのサポートを必要とする多くの企業は、ビジネス目標を達成できなくなる。

デジタルトランスフォーメーションは、すべてのビジネス分野でデジタルテクノロジーを連携させることが大切です。これにより、ビジネスの運営方法を根本的に変えて、お客さまに価値を提供することができます。

デジタル連携には、次のような要素が含まれます。:

  • 新しいプロセスの自動化
  • レガシーシステムの更新
  • 紙ベースの手動プロセスの排除
  • 将来のビジネスをサポートする新しいアプリの作成
  • 革新的で柔軟な方法で新しいシステムを展開

多くのプロセスは、最初は小さなスプレッドシートで行われ、その後、だんだんに肥大化し、当初の意図と範囲をはるかに超えた扱い難いモンスターとなります。最新のシステムは最新の処理方法をサポートする必要があります。これは、古いプロセスを現時点でもっとも適切で保守可能な信頼できるアプリに置き換えることを意味します。特にプロセスが存在する場所(顧客を含む)である遠隔地からも、必要とする人に情報を届けられることが重要になります。したがって、アプリは、順応性とモバイル性を備えている必要があります。

必要な拡張性と柔軟性を取得するためにアプリをモバイルデバイスやWebで提供し、クラウドに展開することは、DX戦略の大きな部分を占めます。ビジネスの課題は明らかで、ビジネスプロセスを再考し、再定義し、お客様を獲得し、競争に勝つことです。それを誰よりも早く行うか、それを行わずに競争相手に負けるかのどちらかです。その成功要因であるテクノロジーを道具として利用することが求められています。
特に短時間で実現する挑戦は簡単ではありませんが、成果が大きいことは明らかです。

ITプレッシャー

過去50年間にビジネスにもたらされた技術変化の大きさは、過小評価することはできません。更に、市場の変化のペースが加速するにつれて、ビジネス変革をもたらすITへの重圧が高まっています。

その結果IT バックログの増加と同時に、必要なリソースが増大し、予算の確保も厳しくなっています。

アプリ保守の負担が増大するにつれて、ITバックログも大きくなります。調査によると、通常アプリの保守は、アプリのライフサイクル全体のコストの最大80%を必要とすると言われています。そのため、多くの開発者にとって、大部分は既存のアプリの保守作業となり、新しいスキルを取得するための時間を確保できない傾向にあります。

最新のシステムを構築するには、多くの異なるスキルセットが必要です。これは、適切なスキルを持つ人材を採用しようとするITマネージャーにとって大きな課題です。最新のWeb、クラウド、モバイルアプリの場合、多くのテクノロジーが連携する必要があり、これらすべてのスキルを持つ開発者を見つけることは困難で、費用も問題です。しかし結果的に、それぞれに異なるスキルセットを持つ複数の開発者を採用する必要に迫られます。

また場合によっては、事業部門は変革を実践する上で、IT部門を阻害要因と見なしています。事業部門は、ITの変更要求の実現に予想以上に時間がかかり、コストがかかることを経験しています。IT部門は成功要因として見られることを望んでいますが、しばしば逆に(IT部門は「ノー」という部門として)認識されていることも少なくありません。この状況から、事業部門が希望するスケジュールでIT部門にアプリ開発を依頼することができないため、事業部門内でシステムを実装するシャドウITのまん延を加速している事実もあります。

これらのシャドウITで実装されたアプリを中央システムやそのデータベースに接続すると、アプリの問題が生じたり、またIT部門が実装したアプリとの矛盾が発生する可能性があります。また、事業部門は、実装したシステムの保守の負荷を十分に認識していない場合があります。

この状況において、IT部門は革新の原動力となり、将来成功するために必要なビジネス変革を可能にするために、克服すべき多くの課題があります。これらには以下のものがあります:

  • ワークロードとバックログ
  • 新しく進化し続けるスキルの獲得
  • 開発者生産性の向上と保守負荷の軽減
  • シャドウITのまん延
  • ノーの部門から「イエスの部門」になる

開発者の課題

ソフトウェア開発者にも、一連の課題があります。最大のものは、ソフトウェア開発業界の変化のペースです。Web、モバイル、クラウドでの最新のソフトウェア開発環境への移行に伴い、新しい言語、フレームワーク、プラグイン、モジュール、コンポーネントが切れ目なく発表されます。開発者は、すべての利用可能なオプションを入手する方法を考え、長期的に見てどのオプションを採用するかを適切に判断しなければなりません。

新しい世代の最新アプリを構築するには、開発チームの大幅なスキルの再構成が必要になるケースは少なくありません。既存のアプリを保守する開発者にとっては、新しいスキルを獲得する機会はほとんどないかもしれません。また、一部の開発者はこの変化に積極的かもしれませんが、他の開発者は既存の技術に固執するかもしれません。

実際にビジネスプロセスを理解している開発者が、ビジネスの現場の人々と緊密に協力して、その要件を満たすことではじめて技術者の真の価値を発揮することができます。 このことを理解している開発者は、プログラム開発の域を超えるビジネスの分析スキルを得ることができるかもしれません。

課題に対処するためのローコードソフトウェア開発

ローコードソフトウェアの導入により、次のことが可能になります。:

  • ビジネスのために、従来の方法よりもはるかに迅速にアプリを構築できます。その結果、ビジネスモデルを迅速に再設計して、変化する市場の流動性に対応するために必要な柔軟性を実現できます。
  • IT部門にとって、ローコードは適切なスキルとリソースを見つけることの困難さを克服し、より簡単なアプリを開発方法と、アプリをビジネスに適用するより速い方法を提供します。また、開発のバックログを削減し、IT部門の価値に対する事業部門に認識を向上させることができます。
  • 開発者にとってローコードは、複数の新しい開発ツールや言語の情報収集と習得の必要がなく、同時に開発者とビジネスの距離を近づけることで、最新のアプリを構築する機会を提供します。

ローコードは、新しいWebのフレームワークではなく、開発者がビジネスの学習とアプリの提供に集中できる新しい方法を提供します。最新の技術的な知識を必要とする開発言語とオープンソースフレームワークの知識の習得、実装、サポートに時間を費やすことは、もはや現実的ではありません。ローコードのソフトウェア開発は、テクノロジーを活用したビジネスの変革を促進する手段となります。

ローコード開発プラットフォームは、この様にさまざまな方法で企業活動を支援します。

  • 迅速な開発
    記述するコードが従来に比べて極端に少ないことで、これまで以上にアプリを迅速に開発することができます。企業は、ビジネスに必要なアプリのバックログを解消する方法を入手します。
  • デジタルフォーメーション
    手動および紙ベースのプロセスをクラウド、デスクトップ、Web、モバイルアプリに移行することで、効率、生産性、データの正確性、顧客サービスを向上させます。
  • 保守負荷の軽減
    アプリの保守と開発を単純化することにより、保守を含めたライフサイクル全体のコストを削減し、リソースを解放して新しいアプリの構築に割り当てることができます。
  • モバイル化
    ビジネス全体で増加するモバイルアプリの需要を充足します。既存の開発者でモバイルアプリを開発し、ユーザーに迅速に届けることができます。
  • クラウドコンピューティング
    アプリまたはアプリの一部を迅速にクラウドに移行して、俊敏性と柔軟性を向上させながら、運用コストを削減し可用性を向上させます。
  • スキル管理
    専門スキルの蓄積を不要にします。利用技術に関係なく、開発者をアプリのどの部分でも作業できるようにします。リソース不足と競合を排除します。
  • シャドウITとの戦い
    アプリの導入を加速し、事業部門がシャドウITによる自分自身で問題の解決を図る必要がないようにします。 アプリを数か月または数年ではなく、数日または数週間で提供できる様にします。 ローコードにより、ビジネスの変化するニーズをサポートするための新しいアプリを、これまでになく迅速に作成できます。 基盤となるソフトウェアテクノロジーが変わる場合でも、ローコードは開発者をそれらの変更から保護し、新しいテクノロジーやソフトウェアアプリを通じてビジネスニーズに焦点を合わせた更新を可能にします。

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