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2023.12.26
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IBM i の長寿命の鍵とは

IBM i の長寿命の鍵とは
IBM i の長寿命の鍵とは

今年IBM iは誕生から35年を迎えました。これは日進月歩のITの世界では驚くべき長寿命ですが、これを実現している主な要因は一体どこにあるのでしょうか? これまではTIMI(技術非依存マシンインターフェース)などのIBM i特有のアーキテクチャに焦点を当てた議論が多くなされてきましたが、どうやらシステムを長寿命化する鍵はそうした技術的なものに止まらないようです。(編集部)

IBM iの秀でた技術とIBM iを取り巻く熱意溢れるコミュニティが、過去35年間どのようにIBM iというプラットフォームを支え、持続させてきたのでしょうか。

エマ・ピッツル


1988年、それはCDの売り上げがレコードのそれを初めて上回り、フロッピーディスクが当たり前の物となり、セガのジェネシス・コンソールが大流行した年でした。またそれはIBMが、中小企業向けに設計された新しい中型コンピュータAS/400及びそのOSであるOS/400 を市場に投入した年でもあります。その使い易さ、求めやすい価格、並外れた計算能力、そして同時に発売された1,000個の互換性の有るソフトウェアパッケージのお陰で、AS/400は急速に最も広く使用されるビジネスコンピュータの1つになりました。1997年までに、IBMは40万台以上のAS/400を出荷しました。

次の大きな節目は2000年でした。この年IBMはAS/400をiSeriesサーバーとして、そして2008年には再びPower Systemsとして再ブランド化しました。OSも同様に名称変更され、IBM iになりました。

2023年6月21日、IBM iは35周年というもう1つの意義深い節目を刻みました。

「IBM iは、今日においても私達のお客様にとても多くの価値を提供する基本アーキテクチャを維持しています」とIBMのディスティングイッシュト・エンジニアでありIBM iの首席アーキテクトでもあるスティーブ・ウィル氏は言います。ウィル氏は常に即座に、そのOSは古くて重要ではないという考えを間違いであると指摘します。IBM iは最初からユーザーを念頭に作られ、極端な変更をもたらすことなく彼らを前進させる能力を提供しています。

今日ではこのOSは、大企業から中小企業まで、様々な規模の世界中の会社をサポートしています。IBM iは、その技術それ自身の順応性とIBM iを取り巻くコミュニティのお陰で、中核プラットフォームであり、将来もそうあり続けるでしょう。

IBM iシステム

そのOSはお客様が成功するための基盤であり、彼らが迅速に変化に応答し、常に移ろい続けるIT技術に遅れずに付いて行くために近代化を図り、ビジネス価値を生み出すのを助けます。IBM iは単なる経費ではなく、むしろ更なるビジネス価値を生み出すことのできる資産であるということを理解することも会社にとって重要です。それはIBM iの力の主要部分です。「私は、お客様に自分達が持っている資産が強化できることを理解してほしいです。(中略)彼らはそれらの資産を投げ捨てて一からまたやり直す必要はありません。既に十分な価値を有しているのです。そのことを理解し、IBM iに何らかのコストが掛かるとしても、その費用は資産なのです。それは単にやらなければならない何かに過ぎないものとは違います」とウィル氏は言います。

IBM i コミュニティ

IBM iはそれ自身強力なプラットフォームですが、それを取り巻くコミュニティが過去35年間IBM iを下支えして活力を与えてきました。1988年以来、忠誠心あるユーザーが世界中に存在し、活気あるユーザーグループ、IBMチャンピオンシッププログラム、TechChannel希望の星プログラム、教育と訓練への投資を通じて、コミュニティそれ自体及びIBM iを下支えしてきました。

IBM i成功のもう1つの主要な要素ですか? ユーザーの貢献です。IBM iコミュニティは、そのプラットフォームについて情熱的であるだけでなく、IBMチームを喜んで支援し、建設的なフィードバックを与えるとウィル氏は指摘します。「このコミュニティは間違いなく、我々がもっとうまく何が出来るかを理解して前に進むのを支援するという形で、実際にIBM iを開発している我々と交流することを望んでいます」と彼は言います。

IBM iユーザーとビジネスパートナーは、このOSが自分達のキャリアやビジネスにもたらしてきた物の価値を理解し、本当に真価を認めています。「過去35年以上に渡ってIBMがやって来たすべてのことを私達は高く評価します。そして次の35年間これが続くことを望みます。つまり、私達がここに戻って来て、今から35年後に私達が何処にいるかを理解するために再びこの会話をすることができることを願っています。(中略)私達はこのプラットフォームを愛しています。IBM iは私達に大変すばらしい人生を提供してくれています」とIBM iソフトウェアベンダーであるTL Ashford社の社長マイケル・アッシュ氏は語っています。

ビジネスパートナーとISVエコシステムは、コミュニティのもう1つの不可欠な存在です。IBMビジネスパートナーは、しばしばお客様が最初に顔を合わせる人々です。彼らはプラットフォームについて説明を行い、IBM iの価値についてユーザーを教育し、それが単なる日用品以上のものであることをお客様に示します。ウィル氏はIBMがサードパーティーと一緒にビジネスを行う協力的な方法を次のように強調します:「人々がビジネスを行うのを支援する我々のプラットフォーム上にソリューションがあり、これらのお客様が前進しIBM iを活用するのを支援しているビジネスパートナーがいるという理由で、私達は成功しているに過ぎません。それに尽きます。」

コミュニティは、継続的に教育と訓練の機会を追究し、プラットフォームが状況に合わせて変化するときに適応することでプラットフォームに価値を付け加えてもいます。殊にユーザーグループは、ネットワーク作り及び支援活動だけでなくIBM iの教育にとっても不可欠の資源です。世界最大のIBM iユーザーグループであるCOMMONの事務局長のマンズール・シディーキ氏は、「ユーザーグループは過去35年以上IBM iの成長に貢献してきました。そして、これは暫くの間継続すると私達は予測しています。IBM iコミュニティがある限り、ユーザーグループはそのコミュニティの中心です」と言います。

IBM i の将来

IBM iの教育に投資することの重要性は増大し続けるでしょう。なぜなら今日コミュニティで最も核心に関連する話題がスキルギャップだからです。あるユーザーは35年間ずっとIBM iを使い続けてきて、何十年分もの価値ある知識や経験を積み上げていますが、多くの熟練者が引退し新しい世代の人達が参入する時期が迫っています。

ビジネス及び技術は絶え間なく変わっていますから、もちろん新しいユーザーは、より経験のある人々とは異なるスキルセットをもってそのプラットフォームにやって来ます。オープンに基本を教え、新しい人々が持ち込むスキルや視点をオープンに受け容れることが重要だとウィル氏は言います。

新しいユーザーを訓練するという闘いの一部は、単に先ずIBM iでどのような類の能力を手にするかを彼らに教えることである場合もあります。Partner400社のジョン・パリス及び同僚のスーザン・ガントナーにとって、JavaプログラマーにフリーフォームRPG(FF RPG)の使い方を教えたのが鮮明な記憶に残る例でした。

1週間の講習の後、彼らのグループの1つでは一人も宿題を完了させていませんでした。ガントナー氏によれば、彼らはその理由を「私達はIBM i上でJavaコードを少し書きました。ダメな理由はないでしょう、それは可能なのですから。でも、講習の第1週が終わった後、私達はRPGでコードを書くことがアプリケーションにとって、もっとずっと簡単で良い方法だという事に気付きました。ですから、私達は既に書いたJavaアプリケーションのいくつかをRPGに書き直しました」と説明したと笑います。「彼らはRPGファンになりました。」

技術的なノウハウは欠かせませんが、IBM iで仕事をするのは技術を知る以上のことです。雇用主は将来に目を向けて、多分技術的な背景をもたずにやって来た人々からの新しい視点の価値を覚えておく必要があります。「私達は、多分25年前には価値のあった事だけれど、単にキャリアのために知る必要がある事の一片を知るよう(新参者に)要求せずに、新鮮なアイディアを取り込む機会としてこれを検討しなければなりません。」とウィル氏は言います。

ビジネス感覚(顧客基盤と会社の製品群を理解していること)は、IBM iキャリアで成功するもう1つの重要な要素です。バック氏は彼のプログラムにおけるビジネスインテリジェンスの重要性を強調します。新しい開発者が入ってきたとき、「彼らを私に預けなさい。私が彼らにIBMの諸々について教えます。(中略)あなたは自社のビジネスを彼らに教えることに集中するべきです」と彼は言います。

経験豊かな開発者が彼らのビジネス知識を伝えられるようにすることは、多分彼らの技術的知識を伝えるのと同じ位実に重要です。今から10~20年後のビジネス世界は、間違いなく今日とは違うでしょう:技術は変化するでしょうが、ビジネス経営を実行するニーズは変化しないでしょう。

技術はどう変化するでしょうか? 確かなことは誰にも分かりませんが、シュウェンク氏は「私はAIが軌道に乗り、IBM iは近代化を続けて5250画面のメニュー、RPGⅡやRPGⅢプログラムのような古い習慣から離れ、オープンソースの採用が本当に始まると見ています」という予測を語ります。「私達が知らない内に、世界中の開発者が、私達がまだ知らない新しくて素晴らしい方法でこのプラットフォームを使うでしょう。」

ウィル氏は次のように続けます。「新しい技術が将来どのように人々の生活に影響を与えるかを想像することはできません。しかし、そこにIBM iは在るでしょう。」 

止まることのない前進

技術の景観と共にIBM iは継続的に35年間進化してきました。imPower Technologies社のCEOで共同設立者のジム・バック氏は「私は1989年にこのプラットフォームでキャリアを開始しました。時代と共に変化するこのシステムの能力は数千の会社が成功するのを助けてきました」と言います。

AS/400が市場に導入されたとき、ほとんどのテクノロジー会社は独自技術だけを扱う仕事をしていました。IBMの中型システムも違いはありませんでしたが、時が経つにつれて他のシステムとの統合ニーズが増大しました。例えば、AS/400は独自の1セクター520バイトのディスク記憶装置をもっていましたが、後にIBMは単一レベル記憶アーキテクチャを維持したまま、業界の他の残りの会社が使っている1セクター512バイトの記憶装置を使い始めました。

そのシステムは進化し続け、IBMによって定義されたものではない言語で書かれたソフトウェアを使い、後にはオープンソース技術を取り込みました。しかし、これらすべての変化の間中、極めて初期に書かれたコンパイル済みコードは動き続け、今日でも動いています。

「その進化によって、お客様の投資が保護されてきたと同時に、標準および容易に入手できるI/Oおよびオープンソースソフトウェアが組み込まれることで、それらの進化に伴って私達は他のサーバーと競争し、それらに勝てるようになりました」とウィル氏は説明します。

新技術と一緒に近代化

近年IBM iは進化し、人工知能(AI)、クラウドそしてアナリティクスのような新技術の出現と共にそれらを採用しており、事業者が自分達のデータからもっと多くの価値を得る手助けをしています。そして今日、データはすべての中核にあります。

「今日のアナリティクスのバージョンが何であれ、単にトランザクションを処理するだけなく、データからもっと多くのものを得ること、(中略)IBM iのDb2に組み込みそして統合できることに私達は投資し続けます。このような先進的な考えに基づいたデータ処理によって、人々は自分のデータをどこか他の場所に持つ必要が無くなります」とウィル氏は指摘します。加えて彼は、「IBM iはあなたの会社のデータを有し、そのデータに対して効率的にあなたのビジネス処理を実行している」という理由でIBM iは中核プラットフォームであると言います。

強力なデータ及びアナリティクス能力に加え、増々多くのユーザーが自分達のワークロードの一部をクラウド上で実行しており、IBM iの使用並びに管理形態が変化しています。IBM iを支援するISV及びIBMパートナーの普及のお陰で、お客様は自社システムを他社が管理することに慣れています。クラウドが成長するにつれて、お客様は自分達のシステム管理法が自社のビジネスにとって最も理に適っているかどうかを尋ねるようになりました。

「もう1つは、クラウドの実装に関連する技術が実際全エコシステムに浸透していることです」とウィル氏は言います。

お客様がIBM iをクラウドの様な環境で管理したいと強く願っていることを認識して、IBMチームは活動中のパーティション移動及び物理媒体に代わる仮想媒体という2つのとてもクラウド的な機能を付け加えました。「私達は、これらを実装するためにテクノロジーリフレッシュ(TR)という機構を発明する必要がありました。ですから、とても現実的な方法でTRはクラウド技術なのです」とウィル氏は言います。定期的にTRを提供することで、IBMはクラウド環境でお客様にもっと効率的にサービスを提供できます。

ウィル氏は、「あなたがIBM iをクラウドで使用しているかどうかに関係なく、私達はそれを提供するために裏でクラウド技術を使っています」と付け加えます。

適応する顧客基盤

現代の技術と統合できるIBM iの能力は、「レガシー」が「重要ではない」と同値ではないという事実の証です。Everbrite, LLC社のシニアプログラマー/アナリストであるマリーナ・シュヴェンク氏は、「このプラットフォーム上でオープンソース、Git、単体テスト、そして今AIが利用可能であること(中略)実際IBM iで出来ない事なんて何もありません。ただやり方を知る必要があるだけです」と指摘します。

5250画面やRPGの様なレガシー技術に多くのユーザーが慣れ親しんでいる一方で、プラットフォームに新たに触れる人達は豊富な知識と方法論を持ち込んでいます。

IBM iの研修、コンサルティング、メンタリングサービスを行うPartner400社の共同所有者のジョン・パリス氏は、彼の何十年という長きにわたるIBM i教育のキャリアに於いて、新技術は最大の変化の1つだったと言います。「最初に(教育を)始めたとき、私達はRPGプログラマーがもっと優れたRPGプログラマーになるよう教育していました。そして、段々と『RPGって何?』という風に移って行き、RPGを『ロールプレイイングゲーム』の事だと思っている人達にその言語を教えるようになりました」とパリス氏は言います。長い年月をかけて、彼はSQL、PHP、Python、JavaScript、HTMLを彼の在庫に加えました。「もはやRPGを知っているだけでは不十分です」と彼は付け加えます。

それを使うかどうかに関係なく、例えばオープンソフトウェアのような最新の技術に遅れずについて行くことは2つの理由で重要だとウィル氏は言います。それは個人をより価値ある従業員にするだけでなく、彼らがもっと効率的に働く手助けもします。「世の中にある新しい技術のあるものは、古い技術を使うともっと多くの労力を要する仕事を非常に僅かな労力で行えます。これら最新の技術が何であるか、そして毎回車輪を再発明する必要がない様にそれらで何ができるかを間違いなく知っているようにしなさい」とウィル氏は説明します。

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