IBM Power Systems Virtual Server環境におけるバックアップ検証 | IBM i 総合情報サイト

IBM Power Systems Virtual Server環境におけるバックアップ検証~
IBM Cloud Storage Solution for i & Hybrid BACKUP(VINX社)~


IBM Power Systems Virtual Server環境におけるバックアップ検証<br /> ~ IBM Cloud Storage Solution for i & Hybrid BACKUP(VINX社)~<br />

投稿日:2021年12月14日

Power Virtual Serverの東京リージョンがサービス開始してから1年半が経過し、本格検討されているお客様もますます増えています。お手持ちのIBM i をクラウドにアップリフトする選択肢としてのPower Virtual Serverはシステムがそのまま稼働するという点で大変魅力的ですが、クラウドへの移行に際していくつかの考慮点があります。
その中でも一番大きな課題は、「バックアップ方法の見直し」です。

ご存じの通り、Power Virtual Serverではテープ装置によるバックアップはできません。その際の代替策はいくつか考えられますが、その中でも代表的な2案:

  1. IBM Cloud Storage Solution for i (CS4i)を利用して、IBM Cloud Object Storage(ICOS)上にバックアップを作成する
  2. VINX社のHybrid BACKUPソリューションを利用して、IAサーバー上にバックアップを保管する

を検証しました。

細かな実測時間等の詳細な検証レポートは別途掲載の以下をご参照いただくとして、当記事ではそれぞれの方法の考慮点等をまとめましたので、検証レポートと併せてお読みいただければと存じます。

検証レポート:https://www.iguazu-sol.jp/ihcc/ihcc_case/c21102701

「IBM Power Systems Virtual Server検証環境を使用したバックアップ検証~IBM Cloud Storage Solution for i & Hybrid BACKUP (VINX社)」

図1

(1) IBM Cloud Storage Solution for i (CS4i)とIBM Cloud Object Storage(ICOS)の組み合わせ

図2

CS4iは IBM i のデータをIBM Cloud Object Storage(ICOS)への保管/復元を実現するバックアップソリューション です。
CS4iが行うのは、IBM iのIFS上にあるオブジェクトをICOSへ転送する部分となります。したがって、今まで利用してきたSAVLIBなどのコマンドでTAP01などに書き出す操作をいったんはIFS上のオンラインファイルに書き出すように変更する必要があります。この際 IFS上にオンライン・バックアップ用の追加容量が必要になりますので、注意が必要です。
また、SAVLIBでオンライン・バックアップを作成後に、CS4iでCPYTOCLDコマンドでICOS上へバックアップ保管をするステップの追加も必要になります。
Power Virtual Serverでは、Backup, Recovery and Media Service for i (BRMS)というライセンスソフトウェアも選択可能ですが、このBRMSを利用すると、オンラインバックアップ作成からICOSへのデータ転送を1ステップで実行することも可能になりますので、BRMSの採用も検討するべきでしょう。

検証作業では保管対象ライブラリー(10GB)について、圧縮ありと圧縮なしの2パターンにおける保管/復元時間の測定を行いました。
またPower Systems Virtual ServerとICOSの間のアクセスを、PublicルートとPrivateルート(VRAにNAT設定)の2パターンで検証しました。
Private接続の場合、保管と圧縮無しの合計は約19分前後、圧縮有りは約14分でした。復元は16~20分位でした。
Public接続の場合、保管と圧縮無しの合計は約20分前後、圧縮有りは約14分でした。復元は17~20分位でした。

結果検証時にはPublicルートとPrivateルートでは保管/復元時間に大きな差異は認められませんでしたが、Publicルートの場合は、他の影響も受ける可能性が大きいことは認識すべきでしょう。またそもそも、バックアップデータという生の企業データをPublicルートに乗せていいのかどうか、コンプライアンス的にも検討が必要でしょう。
また、ICOSでは書き込みには料金が発生しませんが、Storageクラスによっては読み出しには料金が発生するケースもあり、PublicルートのほうがPrivateルートよりも読み出し料金が高くなる場合もありますので、頻繁にRestore作業が発生する場合には注意が必要です。

もうひとつ考慮すべき点として、ICOSではメンテナンスにより不定期にIPアドレスが変更になる場合があります。
ICOSへのアクセスをPublic経由にしている場合や、Reverse Proxyサーバーを立てている場合にはIPアドレス変更による影響を受けませんが、VRAにNAT設定している場合には、IPアドレスに変更があった場合、手動操作でNAT設定の変更が必要となります。
ICOS使用の場合は、基本的に仮想サーバー(reverse proxy)の採用をお勧めします。

(2) VINX社製 Hybrid BACKUP

図3

VINX社の提供するHybrid BACKUPは、Disk to Diskで保管を実現するバックアップソリューションとして多数の実績を誇っている製品です。
バックアップデータをWindowsサーバーに保管できるということで、クラウド上のWindowsサーバー(IBM Cloudのみならず、AWSでもAzureでも)はもちろんのこと、自社にWindowsサーバーがあればそちらにバックアップを保管することも可能です。今回の検証では、保管対象ライブラリー(10GB)について、圧縮ありと圧縮なしの2パターンにおける保管/復元時間の測定を行いました。
保管先はIBM Cloud上のWindows Serverと、イグアス本社(川崎)内のオンプレ Windows Serverの2パターンを検証しました。
(オンプレ環境での圧縮無しはネットワークの影響が大きいため非現実的であり未計測)
検証結果としては、IBM i 側で圧縮をかけ保管データを小さくし転送データ量を少なくした方が、特にクラウドからオンプレへのバックアップなどネットワーク越しの場合は全体の保管時間が短くなるという結果となりました。とはいえHybrid BACKUPでは保管しつつ転送も行うので、特にクラウド to クラウドのようなネットワーク負荷の影響の少ない場合には、圧縮時のシステム
負荷の関係で圧縮後サイズが小さい方が絶対に保管速度が速くなるとも言い切れないので注意が必要です。
Hybrid BACKUPでは圧縮レベルを*HIGH / *MEDIUM / *LOWと3種類選べますが、今回のテストデータでの高圧縮保管(*HIGH)では、約1,000CPWのCPU負荷がかかる結果となりました。

その他の選択肢

バックアップ製品 IBM COS
(ICOS)
Hybrid BACKUP IBM VTL
バックアップ時間 他製品に比べて遅い 早い ICOSよりは速い(検証中)
バックアップ量
  • 小規模クライアント用(バックアップで頻度が低い。約2TBまでを推奨)
  • 保管ファイル用ワークエリアが必要
  • 大容量バックアップの場合は運用に考慮必要
  • ワークエリア不要
  • ワークエリア不要
  • 物理テープライブラリー装置と同様に扱える
  • 長期保存データはICOSにアーカイブ推奨
コスト 安価
(1TB:約¥1,700~/月)
初期購入、サブスク購入
選択可能
約¥54,000~/月
保管先 COS(ICOS)
※IFS上に保管エリア必要
Windows Swever
(オンプレ or クラウド)
Power VS
(Linux インスタンス)
接続方法 リバースプロキシ推奨
(約¥20,000/月)
LAN上のWindows Server
(オンプレ or クラウド)
iSCSI
メーカー IBM ヴィンクス IBM

現在IBM Power Systems Virtual ServerではVirtual Tape Library (VTL)オプションも選択可能になっています。
これはSAVLIBなどのコマンド利用時に物理テープ装置と同等に扱えるもので、物理テープ装置の代わりに、Power Virtual ServerのLinuxインスタンス上にバックアップを保管します。つまりCS4i & ICOSの場合に必要だったオンラインバックアップエリアが不要となり、バックアップ用のCLプログラムの修正も最小限で済みます。
ただし、上記の表でもお分かりいただける通り、価格がICOSと比べると数倍高くなりますので、大容量バックアップや長期保存が必要なデータはICOSへ保管するなりの対策が必要といわれています。

IBM VTLは現在検証作業中ですので、結果がまとまりましたらまた改めてご報告いたします。

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