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チーフ・アーキテクトに聞く!POWER9に込めた思いとこれからのコンピューティング

2016年10月28日


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IBMのRISCプロセッサー、POWERの周りが何やら熱いです。ビッグデータやビジネス・アナリティクスという言葉が浸透し、多種多様なデータを処理するためには欠かせないPOWERプロセッサー。あのGoogleも、自社のデータセンターのサーバーを、Intelのx86からPOWERに移行*すべく、準備を進めているようです。

そこで、POWERプロセッサーのチーフ・アーキテクトである、Distinguished Engineer (技術理事)ウィリアム・スターク氏に、近い将来登場する予定のPOWER9に込めた思いと、これからのコンピューティングについて聞きました(当インタビューは2016年10月)。

すべてがハイスペック。これらをサーバー上で最適化する思想がある

――POWER9の開発コンセプトや特徴を教えてください

POWER9は14nmFinFETプロセスで製造しています。配線層はなんと17(編集部注:Intel Xeonは10)。これにより、オンチップのキャッシュ階層の帯域は合計で7TB/s。CPUコアの構成とメモリー・インタフェースの違いによって計4種類が用意され、スペックは申し分ないと言えるでしょう。重要なのは、このハイスペックの半導体はサーバー上で最適化する思想で作られていることです。

大きくアップした帯域幅は、使うデータが爆発的に増えている現在に対応させたものです。今や、データは頻繁にやりとりされ、ある意味通貨のようなもの。非常に価値のあるものと考え、その動きを活発にさせることを考えました。言い方を変えれば、高速道路をより整備したということでもあります。

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POWER9はこれからのコンピューティングを想定している

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――中堅中小企業のユーザーにとってPOWER9はどう役に立つのでしょうか?

2つの観点から説明します。まずは、POWERプロセッサーは、比較的低いクロック周波数でも性能を発揮できるという特徴が挙げられます。これはx86に対する大きな優位性で、スレッド・ストリングスの向上によって、その度合いは今回も向上しています。同じ性能ならばx86アーキテクチャーのものに比べ、消費電力や発熱量を抑えられたりもします。

また、ソケットが少ないコンピューティング・システムに対しても、それに合わせたPOWERプロセッサーを選ぶことで規模に応じたチップの使い方ができ、高いパフォーマンスを発揮できます。つまり、使っているコンピューティング・システムの規模に関係なく、パフォーマンスの恩恵を受けられるでしょう。決してオーバースペックという訳ではないはずです。

2つ目は、ITに委ねる業務量の増加に対応できるという点。ITで処理する業務の種類、量はますます増えていくのは明らかです。たとえ情報を記録したり、ためたりするといった、従来型の使い方(SoR:Systems of Record)であってもその量は増えていくでしょう。

例えば、今までグリーンスクリーンやRPGなどでやろうとしてもできなかったことが、パフォーマンスの進化によってできるようになるわけです。この先10年を見据えて、今後使われるテクノロジーや必要とされる業務量に対応できるようにしてあります。

POWERはさらに進化していきます。できることが増えるということは、ITに任せることが多様化され、専門化が進み、業務特化型の使い方がますます出てくることが予想されます。新たな用途がPOWERに関するコンソーシアムから生まれてくるかもしれません。そのためにも、IBMはPOWERに投資をし続けます。

ハードウェアのアクセラレーションに対するニーズはさらに進む

――POWERは今後どのような方向に向かいますか?

コンピューティングの未来を考えてみると、今、半導体の製造プロセスは、微細化の進展スピードなどがスローダウンしています。さらにハードウェアの専門化がどんどん進んでいることから、今後求められるのはコンピューティング・アクセラレーションと、メモリー・テクノロジーの発展向上だと考えています。そう考えると、プラットフォームがレイヤー構造であり、オブジェクト指向であるIBM i は、コンピューター・サイエンスの視点から見ても最高のプラットフォーム・システムだと思うんですね。まさに新しいハードウェアのテクノロジー・パラダイムの答えになっていると言えるでしょう。

POWERは今後もIBM i を意識したものになる

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――IBM i ユーザーへのメッセージをお願いします

ハードウェアのアクセラレーションは今後ますます求められていくでしょう。IBMは長期的な視点を持って開発を進めていきます。その進化は、業界の推移よりも早い水準で進めていきます。IBMには常に先のことを見て改善を進め、ユーザー企業が10年後に「これでよかったね」と思えるように製品を提供していく文化があります。

私はIBMに入る前の学生時代からSystem/36とAS/400と関わってきました。IBM i は私の神髄にあると言っても過言ではありません。今後もプロセッサーのデザインをしていきますが、必ずIBM i を意識したものになるでしょう。

*IBM POWER9 ベースのオープン・サーバー・アーキテクチャーを Rackspace と共同開発


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