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IBM i 7.3はハードウェアリリースなしでの異例のリリース!?
iCafe編集部が開発ロードマップを解釈する!

2016年8月23日


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IBM iにまつわる2つの誤解

「IBM iは今後アップデートされることない、オワコンです。他への乗り換えをおススメします。」

このようなことを言われました、というのはとあるユーザー企業のIT担当者の方との話の中でした。もちろん、その方はそのようなことが事実ではないと知っていたため、軽くスルーするにとどまったとのことでしたが、もし状況を把握していなかったら、誤解したまま乗り換えを検討していたかもしれません。

このような誤解が生じる原因は大きく2つあると考えています。ひとつめは、IBM iは「レガシー」なシステムとして一般的に認知をされていること。そしてもうひとつはIBMから発信されるIBM iに関する日本語での情報が少なく、実際に利用しているユーザー企業にすら届いていないことがあるということです。

IBMとしても改善すべく方向転換を進めているようで、事実このiCafeというサイトに対してもさまざまな情報提供を頂く形で協力を惜しんでいないように見受けられます。IBM i に関する正しい情報を提供していくことで、誤った情報をもとに誤った投資判断をしてしまうことを防ぐためにも、本サイトは経営層、技術者の方々へ積極的に情報発信をしてきます。

本記事ではIBM iが今後、どのように歩みを進めていくのかを知るためにロードマップを解説します。IBMはIBM iの未来をどのように考えているのか、どれぐらい投資をしていこうとしているのかを紹介します。「これまで」だけでなく、「これから」もIBM iな理由がそこにはあります。

新CPU発表ナシ!7.3のアップデートが異例だったワケ

2016年におけるIBM iの一番のビッグニュースは7.3へのアップデートに尽きます。アップデートの詳細は他の記事に譲りますが、今回のアップデートの大きなトピックは3つ、「オープンソースへの対応」、「セキュリティー関連の強化」、「ビジネスの分析機能の強化」です。これらへの対応は今回のアップデート以前から着々と進行していましたが、この7.3のアップデートによって大きく前進したと言えます。

3つのアップデートトピックの背景にあるのは、ビジネスにおけるコンピューターの存在意義の変化です。トランザクション処理を正確に遅延なくすることは、もはや当たり前になりました。いまやトランザクション処理で蓄積したデータによる、経営判断を助ける分析が「マスト」となってきています。

システム間連携も重要な変化です。多種多様な情報が、さまざまな外部インターフェースを通じて入ってくるようになり、ウェブや他システムとの密接な連携がビジネスの推進にあたり重要なポジションを占めるようになってきました。この事実はビッグデータやAI、ディープラーニングといった新技術の重要性を生み、ビジネスでの活用が進みつつあります。

こうした時代の変化を見据え、来たる時代にも対応できるよう歩みを進めたのが今回の7.3のアップデートと言えるでしょう。これまで、IBM iのアップデートはプロセッサ-の新バージョンと時期を合わせてリリースされてきました。すなわち、ハードが新しくなるからそれに最適なソフトウェアをリリースする、という製品戦略がそこには見て取れます。しかし今回は新しいプロセッサ-の発表はなく、異例のリリースとなりました。その背景にはまさに転換期、そしてその先を見据えた対応が必要との認識に至った、と推察されます。

安定稼働と新技術への対応の両立へ

ここで過去のアップデートを振り返ってみましょう。先述の通り、IBM iのアップデートはOS/400、i5と呼ばれた頃からPowerプロセッサのバージョンアップと期をほぼ同じくしていました。IBMが提供しているロードマップにPowerプロセッサーのリリース時期を組み入れるとよくわかります。

たとえば、Power 6のリリースの年にIBM iは 6.1へとアップデートされています。すなわち、ハードウェアの進化に合わせソフトウェアも刷新してきたということです。それ以外のあまり大きくないソフトウエアの改修は「テクノロジーリフレッシュ(TR)」として年に2回というスケジュールでおこなわれてきました。ただし、それぞれいつまでもTRを出し続けるのではありません。7.1は2015年の秋におこなったTR 11で安定版とし、機能拡張は終了しています。もちろん、機能拡張が終了しても安定した利用のためのバグ修正などメンテナンスは継続されます。ロードマップだけ見るとそのような記載がないため、安定版となったタイミングでメンテナンスもされないように思えてしまいますが、決してそうではありません。新しい技術への対応を進めながらも、ユーザーの選択を尊重する、という姿勢がここに垣間見られます。

未来のコンピューターの在り方を見据え、IBM iの開発は続く

最後に、IBM iは今後、どのように進化していくのか、ロードマップをもとに考えてみましょう。

ロードマップを見ると、2つの新しいリリースが控えており、そのサポートの範囲は2027年までとなっています。これだけで判断すると、残る2つをリリースして2027年にはサポート含めて終了するような印象を抱くかもしれません。しかし、そうではなく、あくまで「2つ先のリリースまではすでに開発予定としてプロジェクト化している」ということです。

2027年という区切りについても同様で、IBM iでは過去、メジャーアップデートのリリースからおおよそ8年間はTRを出し続けています。現時点での2つ先のリリース時期として挙げているうち、一番早いタイミングの2020年を基準に、過去のサポート期間を当てはめたということのようです。もちろん、図の中にもあるようにディスクレーマーとして約束はできない旨は記載されています。しかし、今後もIBMではIBM iやPowerプロセッサ-などのPower Systems周辺に対し、2000億円以上の投資をおこなう予定とのことで、当面は腰を据えた開発をおこなうものと思われます。

ビジネスにおいてのコンピューターの在り方が大きく変わり始めている昨今、IBM iが誇る安定した稼働とセキュリティーにおける堅牢性はこれまで以上に要所となりつつあります。「これまでも、これからも」IBM iはビジネスにおけるコンピューターのトップランナーとしてビジネスの大きな支えとなってくれるのではないでしょうか。


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