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開発担当者とプロダクト・マネージャーに聞く~IBM i の将来展望と海外事情【後編】

2017年12月21日


開発担当者とプロダクト・マネージャーに聞く~IBM i の将来展望と海外事情【前編】はこちら

IBM i のクラウド事情

――昨年もインタビューさせていただき、IBM i への投資継続のお話、IBM i 7.3の新機能でお客様の反応が大きかったと伺いました。また、FF RPGのユーザーが急速に増えているということと、クラウド・テクノロジーをどう活用するかについてもお聞きしました。それらについてのアップデートや具体的な事例などお話いただけますか。

スティーブ
クラウドに関してですが、昨年、IBM i のソリューション・ベンダーが、クラウドベースのソリューションを提供し始めていると言いました。この傾向はまだ拡大し続けています。ソリューション・ベンダーから招かれて講演することがありますが、そこに来るお客様のIBM i のクラウド利用率が圧倒的に増えています。クラウド利用のお客様は、直接IBM i の管理をしているわけではありませんが、より多くのユーザーをIBM i の世界にお迎えできるという意味で、歓迎しています。
次に、我々はコグニティブの価値をアプリケーションに取り込む方法を提示できたと考えています。ソリューション・ベンダーは、IBMが提案するすべてを合わせて提供するシステムがIBM i であると認識しています。コグニティブのいろいろな能力をアプリケーションに使おうという動きが出てきています。
アリソンが今年の秋に実施した”Driveway to Watson”というイベントには、多くのお客様に参加いただきましたが、アプリケーションの現代化とIBM i のビジネス・ワークロードとコグニティブの連携に大変興味をもっておられました。

――大企業だけでなく、中小企業も含まれていますか?

アリソン
中小企業がとても多いです。彼らは、既に投資した物の価値を高める方法を探しています。そしてそれを、オープンソースやWatsonによるコグニティブ―つまりIBM Cloudへの接続を求めています。お客様はいろいろな方法でビジネスの価値を向上させており、中小企業やさらに規模の小さい企業ですらオープンソースやWatsonを活用してこれを達成しようとしています。これは、実際にゼロから構築せずにシステムからより多くの価値を引き出すことができる、コストパフォーマンスの高い方法なのです。
企業の規模を問わず、どのような会社がオープンソース・テクノロジーを採用しているかを我々は調査しています。我々のパートナー企業の中にHelpSystemsという会社があるのですが、この会社を通して毎年世界中のお客様に調査を行っています。その調査によると、オープンソースをお使いのお客様は年々増えています。これは、お客様がアプリケーションの価値を向上させるためにオープンソースを使っていることを示していると思います。また、いくつかのオープンソース言語は他の環境下のアプリケーションと会話するのに大変優れているので、他のアプリケーションと接続するためにもオープンソースが使われているのではないかと見ています。

POWER9がIBM i にもたらすメリット

――ここでハードウェアの話もお聞きしたいと思います。POWER9がそろそろ発表になると思いますが、POWER9のようなビッグエンジンはIBM i には大きすぎるのではないかという声もあります。POWER9がIBM i にもたらすメリットは何でしょうか。

スティーブ
まずは、これまで公表してきたPOWER9の情報についてお話しましょう。米国政府の依頼により、IBMは2017年度末までに特定の環境に向けた特別なソリューション、特別なバージョンを導入することになっています。これは汎用のPOWER9ではなく、米国政府が要求した特定の環境に限定した特殊な製品です。これが市場に初めてデビューするPOWER9になります。これとは別に、Power SystemとしてAIX、IBM i、Linux用の汎用POWER9を2018年の初めに販売開始するということは発表済みです。
POWER9が提供するほどの大きな処理能力は必要ない、と言われるIBM i のお客様が数多くいらっしゃることは承知しています。しかし、IBM i の市場には、より大きな処理能力を求めるお客様も数多くいらっしゃいます。多くの大企業ユーザーは、より早く、より大きなマシンをIBMに要求しています。そのようなお客様はその大きな処理能力を歓迎するでしょう。
とはいえ、市場のあらゆる変化に対応するにはかなり時間がかかるでしょう。最初に投入されるのは、少し小さめのシステムかもしれません。これは小規模企業やクラウド環境のAIX、Linuxをお使いのお客様に適していますが、POWER8のときに経験したように、それよりもっと小さなシステムが必要だということが判明するかもしれません。こうした事態がPOWER9でも起こるかどうか様子を見ることになるでしょう。最初からすべてのラインナップが揃うわけではありません。POWER9を発売してから、お客様の要望を取り入れ、それに応じたモデルが順次出てくるという具合に、時間をかけた展開になると考えていただきたいと思います。

POWER9と共にIBM i の新バージョンがリリースに?

――IBM i の最新OSが7.3ですが、新しいバージョンがPOWER9と一緒に出てくるということになりますか。

アリソン
7.1以降、IBM i は新しいハードウェアをサポートするために新リリースを提供するというやり方をしていません。7.1以降はテクノロジーリフレッシュ(以下、TR)という形で更新を続けています。新しいハードウェアが出てきたら、そのハードウェア・サポートをTRに組み込むという方式をとっています。ですから、POWER9が発売されるときにも、同じようにTRで対応することになります。2010年から毎年TRを春と秋に行っているのですが、来年に関しても春と秋にTRを予定しています。

スティーブ
新しいハードウェアに合わせてメジャーなリリースを出すということをしなくなったので、可能であればTRにすべての機能を含めるというのが我々の戦略です。提供しなければならない機能があり、TRでそれに対応できないときには、将来のある時点でIBM i の新しいリリースが出されることになります。7.2から7.3へのアップデートの間隔が2年だったのですが、これに対してユーザーから短すぎるという反応がありました。ですので、次のリリースまで2年以上待つことになると思います。ただ、7.1から7.2に移るまでに4年かかっているのですが、そうするとちょっと長すぎる。ですから、2年以上4年以下という期間内で次のリリースが提供されると思います。

IBM i 継続利用のメリット

――実は、この秋にサポート終了(=End of Support 以下、EOS)がPOWER7のマシンに対しても発表され、動揺されているお客様もいます。そんなにハードウェアの保守を終了していって、IBMはハードウェアをやめるのではないか、と極端なことを言う人もいるほどです。今日伺ったお話で、IBMがこれからも継続してIBM i に投資していくということがわかりました。
最後に、IBM i の継続利用を迷っているお客様に対して、セールスポイントがあれば教えていただきたいのですが。

アリソン
すべてのハードウェアに対してIBMがずっとサポートできれば理想的ですが、それは難しいです。現在のテクノロジーから見れば、POWER7は2010年に発売された古いハードウェアです。IBMは古いハードウェアに対してEOSを発表し、お客様にPOWER8に移行していただきたいと考えています。
IBM i という観点では、7.1のEOSは2018年4月30日ですが、おそらく今日か明日にも3年間の7.1の延長サポート(バックレベルサポート)を発表します(注記:取材日および発表日は 2017年11月14日)。しかし今一度申し上げますが、EOSの発表の目的は、お客様に最新のテクノロジーを反映した環境に移行していただくことです。7.1をPOWER7のハードウェアで動かしているような環境では新しいテクノロジーは利用できません。オープンソースを最大限活用し、Watsonやコグニティブがもたらす価値を享受するには最新のテクノロジー環境が必要なのです。
スティーブと私は、我々のチームと共に伝統的なビジネス・アプリケーションをコグニティブ、AI、機械学習、ディープラーニングといった世界と統合することに取り組んできました。
私たちIBMは、どうすればお客様の目をこうした方向に向けられるのか考えています。初めにお話ししたように、第一段階はまずアプリケーションのモダナイゼーションです。多くのお客様が既にこの段階を完了されています。そして、完了されたお客様は、Watsonなどの最新のテクノロジーを容易に活用できます。これはお客様のビジネスを成功に導く重要な鍵です。必要なものは既に組み込まれています。ビジネスの優位性を維持するために、アナリティクスや非構造化データの解析といった分野に益々お客様が移ってこられています。こうした事がセールスポイントとして言えると思います。

スティーブ
私たちは、これまで一貫して定期的にロードマップを発表し、将来にわたってもっと多くのTRや新しいリリースを次々に出す予定であることを提示してきました。Power Systemsは、ロードマップの中でPOWER9がもうすぐ発表されること、そして既にPOWER10にも取り組んでいることを公表しています。昨年、ここにはPOWER10 のアーキテクトであるビル・スターキーが同席していましたが、私もまたPOWER10 の仕事に関わっていました。もしお客様がIBM i に対する将来の保証を求めているのであれば、私たちはずっと長い間ロードマップを発行して将来の話をし続けており、その内容に変更はないということを理解していただきたいのです。名前が変更されたものはあるかも知れませんが、ロードマップに記載された製品は発表し続けています。

IBM i とRPGに軸足をおきつつ先進テクノロジーを訴求

――最近のIBMのメッセージはWatsonやコグニティブ、クラウドというところにかなり集中しているので、IBM i のお客様は、先に進み過ぎている、あるいは自分たちは取り残されているという印象を持たれてしまうことがあります。私自身がベンダーにいた時代は、お客様との距離感を考えると、RPGなどレガシーな環境に軸足を置きながらも先進テクノロジーを訴求していく、というバランスが必要だと感じています。

アリソン
おっしゃっていることはよく分かりますし、行き過ぎていると感じられているお客様にはお詫びしなければなりません。私たちはIBM i チームとして、お客様のIBM i とRPGの環境でどのように仕事をするかということと同時に、ビジネス上の必要性があればコグニティブも使えるようにしようと心掛けていることを、ご理解いただけるとありがたいです。IBM i の環境を現代化し、システムが提供している能力を有効活用いただきたいですが、必ずしもコグニティブを使う必要があると言っているわけではありません。しかし、コグニティブがもたらす能力も必要だとおっしゃるお客様も多いのです。
私たちは今年の年初からずっと、既存のアプリケーションとコグニティブの組み合わせにまつわる話をお伝えしてきました。ですから、IBM i のお客様を置き去りにしているわけではありません。お客様はこうしたIBM i の使い方が可能なのだということと、自分のビジネスの価値を高める方法を知っていただきたいです。私が憂慮していることの一つは、IBM i のユーザーの中に十分な長期展望をお持ちでないお客様がいらっしゃることです。今日のビジネスにとらわれすぎており、将来ビジネスにどのような付加価値を付けていくかということに考えが及ばないケースがあります。そうしたお客様には「私たちもWatsonやコグニティブが利用できる。今はまだその段階にはないけれど、現行のアプリケーションとつなげて付加価値を付けられる。その可能性は既に手にしている」と考えていただきたいのです。私たちの仕事は、お客様が必要だと思う前にそれを確実に使えるようにしておくことです。実はWatsonとRPGについて書かれた初めての記事というのは一年以上前にRPGの専門家ポール・トゥーイが書いたもので、“RPG talks to Watson”というものでした。

スティーブ
私はお客様の前でお話しするとき、真っ先に投資すべき対象として、今お客様に役立つソリューションや、今必要な新しいデータベースの機能強化および今必要なRPGの機能強化の話をします。おっしゃる通り、IBMはWatsonというような、最新の技術の話ばかりしているように聞こえているかもしれませんが、IBM i のチームは今のお客様の仕事をよりよくすることにフォーカスし、最優先しています。お客様は「Watsonのことは耳にタコができるほど聞くけれど、IBM i のことはさっぱり聞かない」とおっしゃるかもしれませんが、私たちは両方の話を同時にするように努めています。今やっていることを実行しつつ、将来に備えることは可能であり、それこそがお客様にお伝えするべきことだと考えています。
私がお客様に話している一つの例を挙げましょう。Watsonのテクノロジーの一つにTwitterのデータ分析があります。IBM i でビジネス・アプリケーションを動かしながら、WatsonのTwitter分析から自社の製品が市場でどのように評価されているかという情報を得ることができます。しかし、Twitterでビジネスを全部実行することはできません。Twitterでは会計や給与計算など全くできません。こうした仕事を完璧に行うにはIBM i のようなシステムが必要です。コグニティブの力をうまく活用する方法を身に付けた会社が、ビジネス競争において優位に立てるのです。そしてこの事こそが成功の鍵なのです。

FF RPGの海外での浸透率

――Watsonに話しかけるには、RPGはモジュラー型プログラムに移行しなければならないというメッセージをきちんとエンドユーザーにお届けするのは我々の役目だと思っていますので、大変参考になりました。
少し話題が変わりますが、FF RPGの浸透率について伺いたいと思います。どのくらいのお客様が、RPGⅢからFF RPGに移行しているのか、それ以降のスピードは変わってきたとか、米国の例で結構です。

スティーブ
先ほど挙げましたHelpSystemsの他に、Profound LogicというIBMのパートナー企業でも同様の調査を行っており、同じような結果が出ています。それによると、現在新しい開発をするにあたって一番使われている言語はFF RPGであるということが分かっています。古いRPGを含め他の言語もあるのですが、その中でFF RPGの使用率はトップです。FF RPGは三年前に発表されたばかりですが、今やIBM i では欠かせない言語として使われています。もちろん古いRPGをお使いの方もおられますが、やはり前に進もうというお客様の数が現状維持のお客様の数を凌駕しています。

アリソン
逆に日本市場はどうですか。

――私感ですが、オールドスタイルが多いように思います。ソフトウェア・ベンダーの中には、もう全部ILE RPGに切り替えたという会社や、あるいは私はFF RPGしか書けませんと言うソフトウェア・エンジニアもいますので、その波は徐々には来ていると思いますが、まだ多数派にはなっていないと見ています。

スティーブ
それに対して私のコメントということでお話したいと思います。私は日本での経験、特にiSUCでの経験を好例として他の国のお客様に紹介しています。iSUCには若手と熟練の方がコンビで出席されることが多いと思いますが、これをモデルとして他の国でもそのような形にするべきだと言っています。さらにより良いモデルとなるために、参加する若手の人たちがもっと生産性を上げられるようなツールを使える場になれば良いと思います。

――本日はどうもありがとうございました。

 


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