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オフィスコンピューターとしての歴史をベースに
IBM iはこれからもビジネスを支え続けていく

2016年8月22日


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System/360とSystem/3の登場

1952年、IBM 701の登場

現代のコンピューターの原型といわれているEDSAC(Electronic Delay Storage Autonomic Calculator)が1949年に開発されました。一方、IBMでは科学技術計算用として、プログラム内蔵方式の大型商用コンピューターとなるIBM701を1952年に発表しました。このIBM 701がIBMにとって初の真空管方式を採用したコンピューターであり、以降さまざまなコンピューターを開発していくようになります。ちなみに、IBMにとって初となるコンピューターは1944年にハーバード大学に納入されたMark1です。

1964年、System/360の発表

IBM がコンピューターという分野において不動の地位を築いたのは、1964年に発表したSystem/360という一連のモデル群によるシリーズの成功によるものでした。
System/360は、マイクロプログラム方式を採用した、当時としては画期的なコンピューターでした。当時、コンピューターはモデルごとにプログラムが異なっているのが普通でめ、コンピューターを移行するには、ハードウェアとプログラムの両方を見直す必要がありました。しかし、マイクロプログラム方式では、ハードウェアの違いを吸収する機能を有しているため、同じシリーズであれば上位機種に移行しても同じプログラムが使える、というものでした。そのため、事業の成長に合わせて上位機種に移行したとしても、資産が無駄にならずに済み、多くの企業で支持されることになりました。

1969年、System/3の発表

IBMロチェスター事業所にある研究所が、System/3を1969年に発表します。この研究所が後にIBM iを開発することとなります。
ちなみに、ロチェスターというのは、カナダとの国境に接するミネソタ州にある町のことです。IBMロチェスター事業所は、1956年に174人でスタートしました。当時はIBM内でも傍流としての位置づけでしたが現在では数千人規模の従業員が働く、IBMの主要拠点の一つになるほどの躍進を遂げています。その躍進はまさにIBM iの歴史とすら言えます。

System/3は、System/360がターゲットとしていた事業規模より下の、中小以下の企業を対象とした、会計用の専用機として開発されました。さらに、System/360との競合を避けるため、コンピューターとは呼ばず、Automated Unit-Record Machine(自働的にレコード処理をする機械)と称していました。この原型は1950年代に使用されていた96カラムのパンチカードを処理するマシンです。そしてプログラマー不要のシステムであるとして、当時開発されたRPG(Report Program Generator)はその名が示すとおり、プログラミング言語という位置付けのものではありませんでした。

1975年、System/32の開発

ロチェスター研究所は、System/3の開発を完了できたことにより、1970年からビジネス用のコンピューター開発を計画します。企業のビジネスを支えるためのシステムは、今後も需要が増していく、という算段がその背景にはありました。さらに、ビジネス用のコンピューターならば、テクノロジーの進歩に煩わせられることがないのと、企業側の理屈としてコンピューターの運用に人手をかけることは望ましくないという見込みがありました。「オフィスコンピューター」としてのIBM iの原型がこのあたりで既に考えられていたのでした。
そしてその後、System/3の後継機として1975年にSystem/32を、そして、1977年にSystem/34を開発していきます。

System/3からAS/400へ

1979年、System/38の発表

System/32の開発と前後し、IBMではコンピューターを進化させるための取り組みが進んでいました。単一レベル記憶でのシステム稼働、分散オブジェクト・アーキテクチャというテクノロジーからの独立性を保つ仕組みなど、後にIBMiの基本となる考え方がこの時代に登場しています。
そして、ロチェスター研究所は、1978年にSystem/38を発表しました。究極のビジネス用途のシステムであることを追求して、現在においてもなお先進性を維持している、いくつかの画期的なテクノジーが盛込まれました。RDB標準装備、アプリケーションの永続性を実現するためにアプリケーションをテクノロジーから分離・独立させる仕組み、複数人・複数アプリケーションを同時稼動させても誤動作しないオブジェクト・アーキテクチャ、などを備えた、現在のIBM iの原点となるシステムです。
また、System/38はオブジェクトベースシステムであり、RDBMSであるDB2がシステムの中核部分に組み込まれました。CPUはIBM独自のCISCプロセッサーを搭載し、で、System/360からの系譜を成しており、このプロセッサーが後にPOWERプロセッサーへと移行していきます。

1983年、System/36の開発とシルバーレイクプロジェクト

ロチェスターは新たなオフィス用システムとしてSystem/36を発表します。これは既に発表済みのSystem/38とは別の系列のシステムとして存在しました。先にSystem/38が開発され、後にSystem/36が開発されたことからわかるように、System/38とSystem/36は異質のコンピューターでした。この2つを統合するため、1985年にシルバーレイクプロジェクトをスタートさせます。

1988年、 System/36とSystem/38を統合し、AS/400へ

先進的なアーキテクチャーを備えたSystem/38をベースに、分散処理に優れたSystem/36を中に取り込む形で1988年に発表されたのがAS/400でした。この統合プロジェクトは当時シルバーレイクプロジェクトと呼ばれていました。ちなみにシルバーレイクとはロチェスター市中心部にある小さな湖で、近くの発電所が冷却水源として利用しているために、暖められた水のおかげで厳冬期においても凍結することはなく、カナダから多数の鴨が飛来し越冬する場所として有名です。ロチェスターに出張する機会を得たら、必ず訪れるべき「聖地」のような所です。

ロチェスター研究所が目指したのは、ビジネスにおける先進的なコンピューターでした。その「先進的なコンピューター」の要件として「長期的にビジネス市場に受け入られる、予測しない将来のテクノロジーにも対応できるものであること」、「ハードウェアに依存しない、アプリケーション中心のインターフェースを持ち、アプリケーションの資産継承や、必要に応じて柔軟に強化できるコンピューターであること」を掲げました。先駆者としオフィスコンピューターとしての在り方を模索し続けた結果、導き出したものです。
こういった考え方は総て、今あるIBMiの思想であり哲学に通じています。この当時、ロチェスター研究所が目指したものは、時代を超えて現代でも通用する考え方だったのです。

AS/400からPOWER Systemへ

1995年、64ビットRISCプロセッサーの登場

将来のパフォーマンス要件が大きく成長することを見越して、従来の48ビットCISCプロセッサーから、64ビットRISCプロセッサーへの移行が行われました。プロセッサー命令セットが大きく変わるので、通常のシステムであれば、アプリケーションの互換性が失われるかコンパイルのやり直しが必要になりますが、AS/400はその常識を覆し、コンパイル済みアプリケーションの互換性を維持しました。
一連のプロセッサ・ファミリーはPowerPC ASと呼ばれました。IBM、アップル、モトローラ社によって共同開発されたPowerPCの流れを汲みながらも、ビジネス用途のためにチューニングが施されたプロセッサーでした。

2001年、POWER4の登場

AS/400に搭載されていたビジネス用途のPowerPC ASと、RS/6000に搭載されていた科学技術計算用途のPOWER3とを統合し、両システムに共通に搭載されたプロセッサーです。製造プロセス・ルールは180ナノメートル、クロックは1.3GHzを達成しており、単体プロセッサ・パッケージに2つのコア、すなわち2セットの演算回路を取り込んだマルチコア方式でした。
プロセッサーの共通化は開発費の削減、ひいてはハードウェア価格の低下をもたらすこととなり、今日のパワーシステムの市場における躍進の原動力ともなっています。以降AS/400とRS/6000の統合化は、他のテクノロジーにおいても少しずつ進んでいきます。
世界初の1GHzマルチコア・プロセッサーとなった新しいプロセッサーには、POWER4の名称が与えられました。その後、POWERシリーズとともに、プラットフォーム部分も進化。機能の充実に合わせ、2004年はSystem i5、2006年にはSystem iと名称も変わってゆきました。

2008年、Power Systems

IBMは、ビジネスのニーズに迅速に対応できるIT基盤の構築と、最適化を実現する柔軟なITインフラを構築するために、System i(AS/400)とSystem p(RS/6000)の両プラットフォームに共通に実装できる、POWERプロセッサー、サーバー、ソフトウェアといったテクノロジーの開発に取り組んでいました。そして、IBMiをOSとして位置付け、IBMi、AIX、Linux環境をサポートする、Power Systemsとして生まれ変えました。
旧来のAS/400とRS/6000の両ラインアップのハードウェアが完全に統合され、POWER6プロセッサーをベースとするPower Systemsが登場しました。単一のハードウェア・ラインアップ、ファームウェア・レベルでの仮想化機能の標準搭載、AIX、OS/400の後継にあたるIBM i、Linuxを自由に選択して複数種類のOSサーバーを統合して構築できるなど、先進的なシステムとして新たな製品ブランドを築きました。

2016年、IBM I 7.3にアップデート

2015年、Power Systemsの全モデルがPOWER8プロセッサーを搭載するようになりました。そして翌年に発表されたIBM i バージョン7.3ではアナリティクス機能を充実させるべく、内蔵データベースにいくつかの強化を行いました。データを歴史的に捉えて分析を可能にするためのテンポラル表、SQL文によって二種類のデータの相関関係とその強さを求める機能、データ変更をいつ誰が行ったのかを明らかにするセキュリティ機能の充実が図られました。また基幹業務領域だけでなく、Python、Node.js、Eclipse Orion、Gitなどといったオープンソース・テクノロジーの積極的な取り込みも行われました。
POWER8のパワフルな処理能力をベースに、IBM iはこれまで以上に「オープンなシステム」に変わりつつあります。

レガシーでありながら最先端

1979年にロチェスター研究所で開発されたSystem/38がIBM iの原型となり、その当時の開発者が目指した理想のビジネス用コンピューターというコンセプトに基づいて、時代と共に新しいテクノロジーを取り入れながら、IBM iはPower Systems上の主力オペレーティング・システムとして進化し続けてきました。

お客様は、アプリケーション資産継承性というIBM i が備えるユニークな特徴を活かして、10年、20年も前のプログラムをコンパイルのやり直しもせずにPOWER8サーバー上で稼動させながら、一方では最新のiPhoneやAndroidなどのモバイル・デバイスからアプリケーションを利用したり、高度なデータ分析を行うことができます。またオープンソースのスクリプト言語を使って、クラウドやWebサービスを構築する一方で、基幹業務アプリケーションやデータにアクセスすることができます。過去の「遺産」を活かすという意味でレガシーシステムと称されることもありますが、最新のオープンシステムと変わることのない使い勝手と両者の連携を実現できるという、他に類を見ないサーバーです。

IBM i は今や、世界115か国以上、15万を超える企業で活用されています。そして、常に二世代先までのIBM i ロードマップを明確にして将来性を明らかにすると共に、お客様の将来計画を立てる上で役立てていただいています。今後も、企業のビジネスを加速するため、レガシーのテクノロジーと未来のテクノロジーを融合させ、IBM i はさらなる発展を目指しています。


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