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RPG・COBOLエンジニアはFFRPGが必修! ITエンジニア紹介のエキスパートが語る「転職・キャリア形成論」

2016年12月21日


2016年9月の厚生労働省「一般職業紹介状況」で、 「情報処理・通信技術者の求人倍率は2.35倍」と発表されました。ITエンジニアの求人は「バブル」という言葉が似合うほど、転職市場に溢れています。しかし、IBM i開発者の多くを占める、RPG・COBOLエンジニアの場合は、こうした事情と若干異なるようです。世間からは「時代遅れ」と誤解を受けやすいRPG・COBOLでの開発ですが、取り組み方次第でポジティブなキャリア形成も考えられます。そこで今回は、ITエンジニア紹介のエキスパートである株式会社テクノプロ・キャリア シニアコンサルタントの久保田 宜道氏に、現在の転職市場概況と、RPG・COBOLエンジニアのキャリア形成についてヒントを伺いました。

空前の「売り手市場」で ITエンジニア不足が慢性化

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ご存知の方も多いかと思いますが、ITエンジニア全体での求人倍率はここ数年、2倍以上で推移しており、まさに「売り手市場」と言えます。慢性的なITエンジニアの求職者の不足に加え、近年の傾向として多い、「ITベンチャー」への投資加速に伴う人材増員などによる募集増がその背景にあります。たとえば、業界でも注目を集める、FinTech、AI、IoT関連の企業にはファンドからの投資が集まりやすく、潤沢な資金をもとに、積極的なITエンジニアの採用活動を実施。しかし、技術自体がまだ新しいこともあり、FinTech、AIの知見やスキル、経験をを持った開発経験者はまだまだ少なく、人材難が続いており、資金はあっても採用ができない、というような企業も少なくありません。

また、加速するビジネスニーズに対する競争力を強化するために、ハイペースでシステムをリリースしたい企業も増加していますが、外部リソースを使う場合、どうしても打合せや予算交渉、決裁などに時間とコストがかかるもの。そのため、システム開発期間とコスト圧縮を狙い、内製化の動きが加速しています。
エンジニアのスキルに着目すると、Javaが出来る人材のニーズは総じて高い傾向にあります。というのも、Javaはもともとマルチプラットフォームの言語であり、幅広い環境で利用されるという背景があるためです。
企業の基幹システム開発やWebサービス開発のみならず、ビックデータ解析などで利用されるミドルウェアHadoopやAndoroidアプリケーションの開発においてもJavaが活用されています。一方、ウェブサービスなどを手掛けるベンチャーでは最近、RubyやJavaScriptを使用できるエンジニアのニーズが高いものの、それ以外でもPHP、Scala、Python、そしてここ2、3年で浸透してきたGo言語など比較的新しい言語を使えるエンジニアであれば、様々な企業が興味を持つと思われます。

さらに、言語に対する条件設定はせず、一つの言語を深く習得していればいいという求人案件も増えています。5年ほど前は、「この言語での開発経験以外はNG!」というような言語指定の案件が目立ちましたが、慢性的な人材不足を受けて要件を緩和する企業が増えてきているのです。背景にはエンジニアのスキル形成について企業側の理解が進んだということもあります。すなわち、プログラムの考えを理解し、実際に業務を通じて使用してきていれば、近似する新しい言語を習得するのは比較的敷居が高くない、ということです。フランス語を使う人間が同じラテン圏の言語であるスペイン語を習得する、というようなイメージでしょうか。
もちろん、敷居は低くとも習得意欲に左右されるため、新しい言語や技術に対して積極的に取り組めるなど、柔軟性があることが前提ですが、ITエンジニアひとり一人の可能性が広がっていることは間違いないでしょう。

AS400・IBMi関連の求人は定常的に発生

ITエンジニア全体の状況を一通りみたところで、次はRPG・COBOLエンジニアにフォーカスしていきます。オープン系エンジニアなど、主流となるエンジニアの求人と比較すると、求人の案件数自体は非常に少ないというのが現実です。しかし、多くはないものの恒常的にAS/400・IBM i関連の募集が発生していることも事実です。そのため、RPG・COBOLの経験を活かした転職活動を考えている方は、取りこぼしがないよう、積極的に情報を取りにいくことをお勧めします。たとえば、転職サイトのプッシュ通知機能を活用したり、転職エージェントに対してスキルが生かせる求人が出たらすぐに連絡をしてもらったりするといった準備は不可欠です。

AS/400・IBM i関連の求人は、幅広い業界の企業から出てきていますが、目立つところとしては製造や金融業界などが挙げられます。安定した事業基盤を持っている企業が多く、募集職種としては社内SEという位置づけで、欠員補充での募集がほとんどで増員のケースはあまり多くありません。いわゆる「団塊世代」と言われる世代のRPG・COBOLエンジニアの定年による退職も今後増える可能性が予想され、その欠員補充としての募集はしばらく出てくると予想されます。そのため、長期での転職を視野に入れておいたほうが自身にフィットした案件と出会える可能性が高いでしょう。また、転職の可能性ですが、自身が所属している業界と同じであるほうが高まります。業界で働く上での前提となる知識や商慣習、文化の部分は一見、スキルとは異なるところと見なしてしまいがちですが、入社してからすぐに身に着けられるものでもなく、転職後に戦力となるための大きな要素となります。案件を精査する場合にこのことはしっかりと踏まえておくとよいかもしれません。

そして、この社内SEという位置づけでの募集についての待遇ですが、転職後の給与は前職の条件を考慮しながらも、比較的歴史のある企業が多いため、原則としてその企業が属する業界平均に準じることになります。また、メーカーの場合は、給与支給額が高くなくても、福利厚生が充実しており、労働環境としては優れている、といった具合で給与面以外でのメリットがある可能性も少なくありません。もちろん、募集企業の状況にも左右されるため一概には言えませんが、概ね安定感のある条件の求人が多い印象があります。

一方、SIer関連の求人はAS/400やIBM iでの新規開発案件などはほとんど存在しないこともあり、滅多に出てくることはありません。まれにスポットで発生するマイグレーション案件に際し募集をかけることもあるようですが、その場合もマイグレーション案件のプロジェクトがクローズすると契約終了となる求人であったり、他の言語での開発案件に移行することが前提の求人となります。しかし、IBM iのモダイナイズが進んでおり、オープン化に舵が切られていますので、今後の動向によっては、AS400・IBM i のマイグレーション対応が増えて、SIer関連の求人が発生する可能性もあります。SIerへの転職を希望している方はこの動きがどうなっていくのかを注視しておくとよいかもしれません。

FFRPG習得の有無が、エンジニア人生のカギを握る

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率直に言えば、RPG・COBOLだけで今後のキャリアを築くことは難しいと言わざるをえません。AS400・IBM i 関連の開発なら、昨今話題となっている、FFRPG(フリーフォームRPG)は必修と言えます。ご存じの通り、RPGのコーディング・スタイルは、インデントや変数の命令規則、コメントの書き方など、定位置記入形式という制約があり、独特な様式です。しかし、FFRPGが出てきたことにより、他の言語と同じようなスタイルで定義できるようになったのはエンジニア個人のキャリアを考える上でも大きな変化と見なすことができます。

FFRPGは、C言語やPHPと記述方式が似ていますが、基本的にはRPGなのですぐに慣れることができます。また、PHP、C、Perlなどの言語経験者からすれば、オブジェクト指向のJava やC++よりも取り組みやすいはずです。さらに大きいのは、GitHubやEclipseを用いたオープン系と同様の開発環境にも対応したこと。5250端末のようなグリーンスクリーンではなく、いわゆる世の中の「スタンダード」な開発環境で開発できるようになったので、これからRPGの習得を始めるような方でも抵抗感なく取り組めるようになりました。また、既にRPGでの開発に馴染んでいる方にとってはオープン系への移行の第一歩として開発環境から変えてみるというのは将来を見据えた有効なキャリア開発と言えるでしょう。FFRPGでしかできないようなことも出てきており、積極的に取り組んでいくことはご自身の可能性を広げることと同義と見なせるのではないでしょうか。

また、AS/400・IBM iを利用している企業は今でも2万社以上あるという揺るぎない事実があり、この数字はAS/400・IBM iの強力なメリットであるテクノロジー資産の継承という観点からも早々に減少していくことは考えにくいでしょう。むしろ先にも述べたように、IBM iのオープン化やPowerプロセッサーの巻き返しの流れを受け、IBM iへの注目が集まっており、今後増加していくシナリオすら可能性として否定できません。
また、ビッグデータ時代と言われるように、データの取り扱い方が大きく変わりつつあるだけでなく、この先にはディープラーニングを利用したデータ活用も実現していくことでしょう。その時、過去から連綿と蓄積してきたAS/400内に眠ってきたデータは一躍脚光を浴びることになることは想像に難くありません。

SEの視点を持ち、ビジネスを加速させるエンジニアを目指そう

RPG・COBOLエンジニアが今後安定的にキャリアを形成していくためには、プログラマーとしてだけではなく、SEという視点でキャリアを積み上げていくことがポイントと言えます。また、会社に言われたまま動く情報システム部ではなく、自発的に考え、自ら提案できる情報システム部を目指すべきでしょう。

IBM iはビジネスを加速させるための統合オペレーティング環境。情報システム部は、事業を支えるシステムを委ねられた重要な立ち位置にいます。そこに携わるエンジニア一人ひとりが、自分の立場から、どのようにビジネスを加速させられるのか考えるべきではないでしょうか。これはRPG・COBOLエンジニアに限った話ではないですが、そうすることで間違いなくエンジニアのとしての市場価値は高まります。日々アップデートされるAS/400・IBM iの情報をウォッチしながら、RPG・COBOLエンジニアも自分自身をアップデートしていくべきです。そうすることによって、一人のエンジニアとしてだけではなく、企業になくてはならない存在へと成長できるでしょう。

RPG・COBOLエンジニアのキャリア形成においては、FFRPGの習得をはじめとする技術の更新と、社内SEとして自社のビジネスを加速させる姿勢が求められます。そして、ビジネス発展を支える企業にとってなくてはならない存在になれば、それはすなわち「市場価値の高い存在」です。ご自身の市場価値を高めるための第一歩として、まずはFFRPGの習得からはじめてはいかがでしょうか。

<キャリアコンサルタント プロフィール>

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株式会社テクノプロ・キャリア
シニアコンサルタント 久保田 宜道氏

大手技術系人材サービス関連企業の人材紹介会社にて、IT分野を中心に人材紹介にたずさわる。これまで対象としてきた紹介先企業は、外資系ITコンサルティングファーム、国内大手SI企業、パッケージベンダー、インターネット関連サービス企業など。2000名以上のエンジニアとの面談実績あり。単純なスキルマッチングではなく、企業と人を信頼で繋ぐ架け橋になることを目指し、マッチング精度と転職後のキャリア形成を視野に入れたサポートをおこなう。

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