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「IBM i TECHセミナー 2017冬 〜最新環境のIBM iを使い倒す」セミナーレポート


2017年12月7日、iCafeが主催するセミナー「IBM i World 2017 IBM i TECHセミナー2017冬」が日本アイ・ビー・エム株式会社本社事業所・IBMイノベーションセンター セミナールームにて開催されました。

今回のテーマは「最新環境のIBM i を使い倒す」。2017年10月に利用開始となったIBM i 7.3のテクノロジー・リフレッシュ(以下、TR)で実装された新機能などについて、実践的な3つのセッションが繰り広げられました。(同セミナーは翌日12月8日IBM大阪事業所セミナールームにおいても開催)

受講者で満席になった東京会場(IBMイノベーションセンター セミナールーム)

セッション1 『IBM i 7.3の機能拡張とIBM i with Watsonでお客様のイノベーションの実現』

最初に登壇したのは日本アイ・ビ-・エム株式会社サーバー・システム事業 Power Systems澤田 英寿氏。
IBM i 7.3の機能拡張、IBM iとIBM Watsonが創出する新しいイノベーションについて解説をいただきました。

日本アイ・ビー・エム株式会社 澤田英寿氏

7.1、7.2、7.3と進化するIBM i には、バージョンアップなしで最新テクノロジーを追加できるTRが毎年2回提供されています。直近では2017年10月27日にIBM i 7.3 TR3(および7.2 TR7)が利用開始となるなど、IBM i は日々進化を続けています。

「今、話題のWatson APIを使って業務改革していきたい。The Weather Companyの気象データを取り込み、基幹データに連結してより深く分析したい。という声があります。今回のTRでの進化としてまず挙げられるのが、IBM i とクラウドとの連携がますます容易になったことではないでしょうか」(澤田氏)

Watson & IBM CloudとIBM i との連携が一層容易に

たとえば、「IBM i にある基幹DB」と「The Weather Companyの気象データ」を連携することで、現在の気象、未来の予報などを勘案したデータ分析やビジネス判断を行うことができます。

「気象データは小売業、農業・漁業、運輸・航空・旅行業など、さまざまな業種のお客様に採用され、早くも欠かせないものになっているようです」(澤田氏)

そして、このIBM i とクラウドの連携がより容易になった要因のひとつとして、基幹システムのアプリケーションを簡単に「API」化できるIBM i の標準機能の存在と、XMLより手軽に扱える「JSON形式」によるデータ交換が可能になったことがあげられると澤田氏は説明します。

さらに、今回のTRでクラウドへのバックアップ機能が大幅拡張(IBM i Cloud Storage Solution V1.2.0)され、物理テープ運用と同じ感覚でクラウド上(IBM Cloud Object Storage、Amazon S3)への転送が可能になりました。

「これは圧縮や暗号化もできるバックアップ・ソリューションなので、テープ媒体の管理に煩わしさを感じている方や、災害対策に頭を悩ませている方には朗報といえるのではないでしょうか」(澤田氏)

IBM i 7.3 TR3では自動ドリルダウンや地図マッピングなど、DB2 Web Query V2.2.1 分析機能が拡充された

また、以下の機能の拡張でIBM i にデータを貯める、整える、活用することがより簡単になり、データ活用が進むことが予想されるといいます。

  • 「テンポラル表機能」基幹データを自動的に蓄積していく機能。日時指定で、必要な時点のデータをいつでも引き出せる
  • 「DataMigrator for i」Oracle/SQL server/EXCELなどのDB2 for i 以外のデータベースからもデータを抽出し、変換し、整えることができる。
  • 「DB2 Web Query V2.2.1」最新のIBMi専用のBIソフトウェア。V2.2.1でドリルダウン機能や地図マッピング機能などが大幅に機能拡張した。

「この機能拡張のほかにも、処理速度の速いSSDの普及や、爆速化するPOWER8など、現在のIBM i は十分な拡張性があります。また容量単価の低下が進んでいることもあいまって、これからは過去分の業務データ、履歴をマシン上に保存して、いつでもデータを活用できるようにしておきましょう。昔のディスクが高価だった時代のように、企業が1年分しかデータを貯めていなかったという状況があったとしたら、それはとてももったいないことです」(澤田氏)

地図マッピング機能。売上、利益、人口、雨量など、地域ごとの特性をマッピングすることで、より深い洞察が可能に。今までPOSデータでは見えなかった分析のヒントを見つけて、商品企画や経営判断、営業活動などに反映可能

Watson APIを使ったIBM i のメリットの話もありました。より競争優位を築きたいお客様にはWaston APIとIBM i を組み合わせたチャットボットをお勧めします。WebサイトやLINEなどのSNS上で動くチャットボットをお客様との窓口に設置し、Watson の自然言語解析や対話技術といった人工知能技術を活用し、顧客からの問い合わせに対応するというものです。IBM i なら既存アプリケーションとデータベースをAIに活用できます。また、セキュリティの観点でも安心です。

WatsonからIBM i に接続するChatbotデモも行われた

セッション2 『テクノロジー・リフレッシュに見る DB2 for iの新機能』

次に登壇したのはティアンドトラスト株式会社 取締役 小川 誠氏。小川氏には特にDB2 for i に関する新機能を紹介いただきました。

ティアンドトラスト株式会社 取締役 小川 誠氏

「今回のTR におけるDB2 for i の機能拡張で、最も注目すべき点は、JSON形式の出力機能ではないでしょうか。JSONは JavaScript Object Notationの略で、テキストベースのデータフォマットです。名前の通り、JavaScriptで利用するために作られましたが、現在は様々なプラットフォームで利用可能になっており、システム間のデータ交換のフォーマットとして XML と並んでスタンダードになっていくと思われます。」(小川氏)

例えばAPIを使用し、東京メトロ有楽町線のデータをJSON形式で取得

「実は2016年11月には、JSON形式のデータを表形式で取り込むためのSQL関数JSON_TABLE()がすでにサポートされていました。この関数を使えば、外部に公開されているJSON形式のファイルをSQLで取得し、データベースに保存するなどの処理が可能になります。そして今回のDB2 for i  のデータをJSON形式に変換する関数をサポートしたことにより、双方向のデータ連携処理をかなり容易に行うことが可能になったのです。」(小川氏)

また、DB2 for i  セキュリティ拡張については、ヒストリー・ログ(QHST)と監査ジャーナル(QAUDJRN)をsyslog形式に出力でき、集中管理できるようになったことが、IBM i にとって大きいと述べました。(syslogは、システムのログをネットワーク上で転送する規格)

「IBM i  のログ管理はとても優れているのですが、syslog という規格ではないためどうしても他システムとは別管理になっていました。それが今回のサポートにより、他システムと同じ土俵でのログの管理が可能になってきます。DB2 for i のSQL機能が拡張されたことにより、ますますオープンなシステムになってきたと感じます。ぜひ、本セミナーのタイトルにあるようにDB2 for i  の新機能を使い倒して、IBM i  の良さを引き出してほしいと思います」(小川氏)

このほか、今回のTRでさらに充実した「IBM i  サービス」について解説があり、システムAPIを使わなくても様々な情報をSQLで取得可能になっていることを、事例を交えて説明がありました。また例として、クライアントのIPアドレスを取得するRPGプログラムも紹介されました。

セッション3 『使い方次第で拡がるIBM i の効果的な活用法と事例』

最後に登壇したのは株式会社イグアス プラットフォーム製品事業部 システム製品営業部 森 照寿氏。企業のPC入れ替えで避けられないWindows 10対応に必要な5250エミュレータ導入の勘所をご紹介いただきました。

株式会社イグアス 森照寿氏

「今、皆さまのなかでも課題となっているかと思いますが、Windows 10への移行によって今まで使っていた5250エミュレータがそのまま使えなくなったという事態が起こっています。その対処方法についてお話しさせていただきます」(森氏)

今までクライアント PCからIBM i  への接続を可能にしてきたエミュレータIBM i Access for Windows(5770-XE1)がWindows 10に未対応。これはユーザーにとって厄介な問題です。

Windows 7の延長サポート終了は2020年1月14日、Windows 8.1 は2023年1月10日。市場にあるプレインストールPCもほとんどがWindows 10 モデルであり、これまで先延ばしになっていた企業の業務PCもWindows 10への移行は避けられず、その対策を急ぐ必要があります。

Windows 10移行に伴う5250エミュレータ選びには、各製品に一長一短がある

森氏が推奨する、Window 10移行に伴うエミュレータ選びの5つのステップが披露されました。

まずは、IBM i Access for Windowsの後継のエミュレータとして提供されているIBM i Access Familyの製品であるIBM i Access Client Solutions for Java 5733-XJ1(以下、ACS Java)を使用するという手段。しかしながら、ACS Java は、IBM i Access for Windowsとまったく同じ機能が提供されているわけではなく、使用する機能や環境によっては、これまで使えていた機能が使えないといったことが起こります。ACS Javaの機能の理解と動作検証をした上で課題を整理し、他のエミュレータへの移行や別の代替手段で補完するなどの検討を進めるのがよいでしょう。

ACS Javaは、ダウンロードしたものを実行できる場所に配置すれば、PC にインストールすることなく 5250エミュレータなどの機能を使用することが可能。ほとんどのオペレーティング・システム上で稼働する Java ベースの製品。もちろん、IBM i  へのアクセスも可能です。

【STEP 1】ACS Javaの機能を知る
Javaはプラットフォームに依存しないため、PC上にJava 6.0が導入されていれば、動作可能。(起動が遅いなどの弱点はある)

【STEP 2】ACS Javaを入手
参考PDF「PC を選ばずに 5250 エミュレータを使用できる!-IBM i Access Client Solutions-」

【STEP 3】既存の定義ファイルをACS Javaへ移行
(i Access for Windows の定義をACS Javaへインポート)
参考PDF「IBM i Access Client Solutions 1.1.6 データ転送の移行・新機能ご紹介」

【STEP 4】運用で使用している機能をひと通り検証
一部の外字に非対応、GDI印刷ができないなどを確認し、それが許容できるか判断する

次は、他のサードパーティ製エミュレータを検討してみるという手段。それぞれの製品は万能ではなく、使える機能と使えない機能がありますが、企業の利用形態に最も適した製品を選ぶことが大切です。

【STEP 5-1】他のエミュレータを検討(サードパーティ製)
「i-Connector」、「TCPLink」、Web化ソリューションの「aXes」の機能比較

【STEP 5-2】印刷の課題は印刷専用のソリューションで解決
プリンタセッションに頼らず、「PrintPro for i-Spool Option」、「WilComm」、「SpoolEye」など、専用の印刷ソリューションを使用することで、エミュレータ変更による印刷課題を意識する必要がなくなります。

Windows 10に関する課題は、時間がたてば解決するものかもしれませんが、喫緊の課題として、それぞれの企業にあわせた対応をしていくほか、手段はなさそうです。

このあと、PowerSystemsの余力リソースを活用するソリューションとして、業務システムのプロセスの見える化(BPM)で働き方改革を実現する「Power iAP on i」、さらに現場業務の働き方改革を支援する「LongRange」活用事例の2つのソリューションの紹介がありました。

今回のTRによって、ますます進化を遂げたIBM i。他のオペレーション・システムとは違うから、実現できないことが多いのではないかと思ったら、それは大きな間違いです。IBM i ならではのスピードやパワーを活かせば、他を凌駕する可能性は十二分にあります。最新のIBM i を使い倒しましょう!


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