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「PowerAI Visionが変えるDeep Learningの世界」セミナーレポート


2017年11月2日、ビジュアルテクノロジー株式会社が主催するセミナー「PowerAI Visionが変えるDeep Learningの世界」が、日本アイ・ビー・エム株式会社セミナールームにて開催されました。

今、ディープラーニング技術を応用した画像認識は、医療、自動運転、製造業など、さまざまな領域で活用が進んでいます。しかし、ディープラーニングを生きたモノにするには、”データを溜める”、”データをクレンジングする” などの膨大かつ地道な作業が必要です。これらを大幅に効率化したのが、2017年9月、テクノロジー・プレビューとして公開された IBM PowerAI Visionです。最初のセッションは、このIBM PowerAI Vision(以下PowerAI Vision)にスポットがあてられました。

『今すぐ使えるDeep Learning~PowerAI Visionで始める画像分類・物体検出~』

登壇したのは日本アイ・ビ-・エム システムズ・エンジニアリング株式会社 主任 ITスペシャリスト 滝澤 直也氏。「なぜ、PowerAI Visionが必要なのか」「PowerAI Visionがディープラーニングの世界をどう変えていくのか」についてご紹介いただきました。

日本アイ・ビ-・エム システムズ・エンジニアリング 滝澤 直也氏

ディープラーニングによる画像分類・物体検出とは、事前に学習した画像データを基に、画像データを分類したり、物体を検出したりすることです。まずは「学習ステージ」。さまざまなカテゴリーのデータ(A、B、C…)を学習させ、学習データから判別モデルを最適化します。これによって「学習済みモデル」が完成します。次に学習済みモデルをデプロイした「推論ステージ」。学習済みモデルによって、未知の画像が何であるかを判別していくというのがおおよその流れです。1カテゴリーごとに100枚から1000枚ぐらいのデータを学習させることが理想と滝澤氏は説明します。

「航空機のボルトのしめ忘れがないか、ゴミ焼却場の不完全燃焼がないかなどを画像データを学習させることによって判別、あるいはセンサーデータの数値を画像化して、状況を判別することも可能です」(滝澤氏)

ここで、ディープラーニングの課題についてセッションは展開します。

ディープラーニングによる画像判別・物体検出を開始するためのハードル

1. 学習のためのデータをモデルが読める形に「整形」する手間がかかる
・何千枚もの学習データの「ピクセルサイズ」や「色調」の調整が必要
・物体検出では学習データに検出対象のラベルの「位置データ」を作成する必要がある

2. 学習させるモデルを選択/設計するためには専門知識が必要
・畳み込みネットワーク、再帰型ネットワークなどの選択、その後の多層ニューラルネットワークのネットワーク構造の設計などには専門知識と経験が必要となる

3. 判別モデルの学習における初期パラメータ設定には職人的なスキルが必要
・学習の最適化には理論的な最適値はなく、学習係数や学習の繰り返し回数、重み減衰、モメンタムなどのパラメータは経験を基にトライ&エラー的に決定する必要がある

一般的なディープラーニングの学習済みモデルの完成までには、「データの前処理」「モデルの選択」「学習パラメータ指定」「モデルのトレーニング」の各ステップがあり、それぞれの作業には高度な専門知識が必要でした。

「ディープラーニングを始めるにあたって、みなさんがつまずくんです。やはり初心者にはハードルが高いと思うことがありました。そして、これらをすべてクリアするのが現在テクノロジー・プレビューで無償提供されているPowerAI Visionです。画像のピクセルを揃える必要なし。学習におけるパラメータは初期値でOK。四角形で囲うだけでラベル付けができます」(滝澤氏)

PowerAI Visionは、自動で画像ピクセル数を整合し、GUI操作でラベル付けが一括で行え、自身でデータクレンジングを行い、学習済みモデルを作成することができる画期的なツールです。

PowerAI Visionによる自動車のドライバーの挙動判別デモ。安全運転中・ナビ操作中・下を向いているなどがどの部分で判断されたかがヒートマップでわかる。これがPowerAI Visionの特徴のひとつ(ナビ操作中99.9%の結果表示)

PowerAI Visionによる道路標識の物体検出デモ。曲がっている・逆光・色褪せている・斜め・夜間のテスト画像をあらかじめ準備

色褪せた標識もなんなく検出(駐車禁止97.7%の結果表示)

『Deep Learningインフラとして最適なIBM Minskyの特徴および性能検証事例のご紹介』

次に登壇したのは日本アイ・ビ-・エム株式会社 ハードウェア事業本部 OSSソリューション 中島 康裕氏。ディープラーニングインフラとして最適なIBM Power System S822LC for High Performance Computing (通称Minsky)の最新状況、CPU-GPUがNVLink接続によって実現できること、そして、今後のIBM Power Systemsのロードマップについてご紹介いただきました。

繰り返し学習する必要があるディープラーニングは、GPUとの相性のよさに定評があります。CPUでは、基本的に1つの命令列で一組のデータを処理します。これに対して、GPUでは命令列は1つですが、多数のデータの組を並列に処理するという方法を採用します。

「GPUは1ソケットに数千基のコア、これに対しCPUは1ソケットに最大20基や22基のコアしか有しません。つまり、GPUは並列処理、CPUは条件分岐処理が得意という特徴があります」(中島氏)

日本アイ・ビ-・エム 中島 康裕氏

Minskyは、4個のNVIDIA Tesla P100 GPUを搭載することで、強力なGPUコンピューティングを実現するPOWER8プロセッサー搭載サーバー。CPUベースのシステムに比べ、パフォーマンスと効率に大きな違いがあります。

IBM PowerAI + Minskyこそ、ディープラーニングに最適化された環境。POWER8プロセッサーとNVIDIA Tesla P100は、80GB/sのCPU-GPU接続テクノロジー NVLinkによって結合。32GB/sのPCIeを実装するx86プロセッサー・ベースのシステムと比較し、CPU-GPU間を2.5倍のバンド幅で接続するNVIDIA NVLinkによって、ボトルネックを解消し、超高速なデータ処理を実現

コンパイル済みの主要なディープラーニング・フレームワークをパッケージ化したIBM PowerAI Release4.0(2017年8月リリース)は簡単にインストールが行え、その場ですぐ使うことが可能です。各フレームワークは、POWERプロセッサーおよびGPUに最適化され、Minskyで動作します。

ディープラーニング・フレームワークは、サーバーの台数を増やすと処理時間が長くなることがボトルネックとなっていました。この問題を解決するのがIBM PowerAI Release4.0に採用された分散深層学習(DDL:Distributed Deep Learning)。これまでは、大量のデータセットを学習させる場合、シングルパワーのMinskyサーバーを用いて、16日間が必要だったのが、64台のMinskyサーバーに搭載された256基のNVIDIA P100 GPUアクセラレータを用いることによって、わずか7時間で完了することができたといいます。

「今、IBM PowerAI Release4.0を無償公開中。GPUとフレームワークの動作を確認し、IBMが独自にチューンナップを行いました。データをやりとりするとどうしても余分に費やされるオーバーヘッドが生じますが、今回のバージョンはほぼリニアにスケールすることができます。これまで論文などで公開されていたスコアは約90%が最高値でしたが、95%の効率性を実現しています。これはForbesでも取り上げられるほどの技術トピックです」(中島氏)

「また、CPU-GPU間を接続するNVLinkは、CPUを活用し、GPUは次の処理という使い方でシステム・ボトルネックを解消することも可能。リソースを有効に使うことができます」(中島氏)

OpenPOWERのロードマップ。2017年12月、POWER9リリース予定。80GB/sから200GB/sへとGPUの処理速度が飛躍的に向上。コスト削減にも貢献する

『ビジュアルテクノロジー社のDeep Learningへの取組みとディープラーニング テストドライブセンターのご紹介』

最後に登壇したのは主催のビジュアルテクノロジー株式会社 佐々木 圭司氏。IBM Minskyが無料で試用できる「ディープラーニング テストドライブセンター」についてご紹介いただきました。

「ディープラーニング分野へは、HPC(High-Performance Computing)で培った高性能ハードウェアインフラ技術、大規模行列計算最適化技術を活かせるとして2017年1月から参入しました。私どもビジュアルテクノロジーは、ディープラーニング利用環境をすぐに使えるレディ状態にしてご提供します」(佐々木氏)

ビジュアルテクノロジー 佐々木 圭司氏

「また、株式会社イグアスのご協力のもと、ディープラーニング テストドライブセンターを運営しております。最新のMinsky、CPU−GPUの間でNVLinkが有効に働くパフォーマンスも存分に味わえます。今ならPowerAI Visionのお試しも無料で可能です。画像を100枚程度ご用意してみませんか? ピクセル数がバラバラでも構いません。Minsky、PowerAI+PowerAI Visionを使って、お客様の独自画像を用いた画像認識の実証実験を行いましょう」(佐々木氏)

IGUAZU Solution Centerの最新IBM Power System S822LC for HPC(Minsky)をご利用いただけます。ビジュアルテクノロジーのディープラーニング テストドライブセンターのお申込みは http://www.v-t.co.jp/inquiry/ へ。

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スマートフォンのアプリなどでも盛んに活用されるディープラーニングに基づく画像認識技術は、今後ますます身近なものとなり、私たちに新しいベネフィットを与えてくれそうです。

ちょっとしたアイディアを大きなビジネスにできる環境がいよいよ整ってきました。PowerAI Visionの実践を担うのは、iCafe読者の皆さまです。

 

 

 


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