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NEXT2018に見るIBM i の未来


ご存知のように今年IBM i は誕生から30周年を迎えました。IBM i と共に歩んできたiSUCは昨年28回目の開催を最後に幕を閉じ、今年からはNEXTがiSUCからバトンを受け継いで、今後さらに進化を続けるIBM i に関する新たな情報発信/収集の場になりました。

記念すべき第1回User & IBM NEXT(NEXT 2018)で見聞きし、見えてきた今後のIBM i とその活用法を読者の皆さんと共有したいと思います。

会場:札幌コンベンションセンター

 

IBM i の将来計画

IBM i チーフアーキテクトのスティーブ・ウィル氏による「世界のIBM i 最新動向」というセッションでは、IBM i の次世代CPUおよびOSの開発状況に関して以下のような将来展望が語られました。

まず、CPUの将来計画については、すでにPOWER10、POWER11の開発が進行しており、いずれこれらのCPUを搭載したPower Systemsが登場することになります。新CPU搭載機の発表予定時期についての明言はありませんでしたが、2004年のPOWER5搭載機の発表から2018年のPOWER9搭載機の発表まで、過去の発表は3年~4年サイクルで行われてきており、これとほぼ同じサイクルでの発表となりそうです。

OSについては、年2回のテクノロジー・リフレッシュ(TR)が予定されていますし、新リリースについても7.3以降2世代先まで開発計画が立てられ、開発プロジェクトが進んでいます。これまでIBM i の各リリースは利用可能日からおよそ7年間の通常サポートに加え3年の拡張サポートを行ってきました。これを今後発表が予定されているリリースN及びN+1に当てはめて考えれば、OSのサポートは現在見えているだけでも少なくとも2032年までは保証されることになります。これはIBM i ユーザーにとって大きな安心材料と言えます。

ちなみに、新リリースの発表についても同様に明言はありませんでしたが、これまで2~4年サイクルで新しいバージョン/リリースが発表されてきていることを考えると、次の新リリースの発表は2019年か2020年頃になりそうです。

また、IBM i 開発チームにオープンソースをバックグラウンドとする若手開発者を大量に採用し、今後30年以上にわたるIBM i 開発に対する人的資源の手当ても怠りなく行っているとのこと。IBM i は更に30年先までを視野に入れて開発が行われていることがうかがえます。IBM i  の開発に従事する若手開発者たちの写真も公開され、参加者に多くの反響がありました。

IBM i は、これまでの30年の歴史と同様にこれからの30年も継続的に新しいソリューションを提供するとともに、お客様のビジネスに必要な新技術を積極的に取り込み進化の道を歩み続けることは間違いなさそうです。

オープニングの様子

 

広がるアプリケーション領域

近年のIBM i のアプリケーション領域は、30年前には考えられなかったほど広がっています。上述の「世界のIBM i 最新動向」というセッションで紹介された下記のような最新のIBM i 活用事例を見ると、IBM i 単体によるソリューションよりも、他のシステムやオープンソースとの連携処理によるソリューションが標準になりつつあることを実感します。

オープンテクノロジーの活用

ベルギーの高級家具メーカーは、オープンソースの3Dシミュレーションを利用して、カスタム家具の設計をお客様自身がWebで実施し、受注に結び付けています。

Watsonとの連携

ポルトガルの銀行は、IBM i で行っていたローンの与信評価をSNSデータを基にWatsonで行ない、その結果をIBM i に連携することで貸し倒れの比率を20%削減しました。

また、全世界に事業展開しているフランスの香水メーカーは、Watsonによるチャットボットを使ってIBM i に関する24時間対応のヘルプデスク機能を実現し、本社のITスタッフの負荷軽減に成功しています。

クラウドテクノロジーの活用

アメリカのソフトウェア開発会社は、自社のIBM i をRPG研修用にお客様にインターネット経由で提供していましたが、研修を終えた開発者が実際のアプリケーション開発を行うための環境を必要としたため、クラウドサービスとしてIBM i 開発環境を提供し、今やこれが大きなビジネスになっています。

また、大きな流れとして、多くのお客様が、コアビジネスの処理はIBM i で行いながら、その他の処理にはクラウドサービスを使用するというハイブリッド・クラウドに移行しつつあります。

ロボットとの連携

デンマークの工業部品サプライヤーはIBM i と倉庫のロボットを連携させることで、ビジネスの成長に伴い部品の入出庫が増大しているにもかかわらず従業員を増やさずにこれに対応することができています。

モバイル・デバイスの活用

ある日本のメーカーは、製造工程の検査を紙によるチェックシートからモバイル・デバイスによる入力に変えることでコスト削減に成功しています。

セッションの様子

 

IBM i のアプリケーション開発と保守の近未来図

スティーブ・ウィル氏による「IBM i 最新アプリケーション開発環境」というセッションでは、IBM i におけるアプリケーション開発の最新トレンドに関するいくつかの話題が取り上げられましたが、そこで語られたことをひと言で言い表すなら「モダナイゼーション」ということになるでしょう。つまり、30年来の古い技術をベースにアプリケーションを作成、保守するのではなく、現代のIT技術を取り入れたアプリケーションへの転換を図る必要があるということです。このセッションで紹介されたアプリケーション・モダナイゼーションのための各要素について、少し詳しくご紹介します。

モバイル・デバイス活用

IBM i の世界ではいまだに入出力機器として5250のCUIが多く使われていますが、世の趨勢はスマートフォンやタブレットに代表されるモバイル・デバイスが主役になっており、IBM i もこうした流れに逆らうことはできないでしょう。

近年はApple社との関係も強化され、iPod、iPhone、iPadなどを入出力機器としたソリューション事例も多く見られるようになっています。

モバイル・デバイスをIBM i の入出力装置としてRPGで扱えるようにするRational Open Access : RPG Editionは既に2010年に発表されていますし、最近では後述するようにオープンソースでモバイル端末の制御を行い、RPGとオープンソースを接続することでモバイル端末から旧来のアプリケーションを使用するスタイルも出てきています。

RPGⅢからILE RPG/FF RPGへ

今後新しいアプリケーションを開発する際に、どの言語を使用するかという調査がHelpSystems社によって行われ、87%以上のIBM i ユーザーがRPGを使用すると回答しています。これは言語の選択肢の中でも圧倒的な1位であり、しかもここ5年ほどRPGのユーザーは増え続けています。この結果について少し意外に思われるかもしれませんが、ここで言うRPGは旧来のRPGⅢではなくILE RPG 固定カラム版やフリーフォーム版(FF RPG)を意味しています。IBMはRPGの機能強化を積極的に行っていますが、それはILE RPGが対象であり、今後もその方針に変わりはありません。

ことにフリーフォーム版 RPGはJava、Node.js、PHPなどのオープンソース系言語を学んできた若いプログラマーには理解しやすい言語になっており、RPGの資産を継承する若手プログラマーの育成問題の解決策としても有効です。事例講演の中では、今までRPGの経験のないJavaプログラマーにフリーフォーム版RPGを1週間で習得させて、技術者として育成している、というお話は大きな反響を呼んでいました。

モジュール型のプログラム構造

今後のプログラミングスタイルは従来のモノリシックな巨大プログラムから、各処理機能に特化したモジュールを作成した上で、必要なモジュールを組み合わせて1つのプログラムを構築する、いわゆるモジュール型プログラムへと移行することが求められます。なぜなら、こうすることでモジュールの再利用によってより高品質のプログラムが短期間で開発できるとともに、プログラム修正や機能追加の工数の大幅な削減が期待できるからです。

ILE RPG 固定カラム版やフリーフォーム版は、このモジュール型プログラム開発ができるようにRPGⅢから進化した言語です。しかし、RPGⅢで書かれたプログラムをそのまま単純にILE RPGに置き換えただけではモジュール型プログラムにはなりません。RPGⅢのソースコードをモジュール型のそれに書き換えるには、プログラムの構造を詳しく調べ、どのようなモジュールに分解できるか分析する必要がありますが、数本のプログラムならいざ知らず、すべてのプログラムを人手で分析するのは現実的ではありません。

この分析作業を支援するツールとしてARCAD Observer for IBM i  やX-Analysisなどの製品があります。これらの製品は、プログラム間、テーブル間、そしてプログラムとテーブル間の相関関係などプログラム変更の影響範囲を調べるのに必要な分析機能やプログラムの文書化機能も備えています。ことにARCADのRPG Converter for IBM i は、サーブルーチンをプロシジャーに変換したり、ILE RPGをFF RPGに変換したりと高度なアプリケーション・モダナイゼーション支援機能を有しています。

ブースの様子

開発環境はEclipse環境が標準に

SEUやPDMに代わる開発環境としてIBMが推進しようとしているのがRational Developer for i (RDi)です。SEUの機能拡張はIBM i  6.1で終了し、7.1以降は新機能の追加や機能強化はRDiだけが対象です。

RDiを使用する主なメリットにはどの様なものがあるのか、少し詳しく見てみましょう。

  • SEUやPDMに比べ開発生産性が大きく向上する
    • ソースコードを編集しているときに構文チェックが行われるので、コンパイル前に構文エラーを防げる
    • コンパイルエラー表示ウィンドウとエディター・ウィンドウが連動し、エラーメッセージをダブルクリックするとソースコード上の該当箇所が表示されるので、コンパイルエラーの修正が効率的に行える
    • ソース上でブレークポイントを設定し、停止時点での各変数の値を表示したり、値を変更して処理を再開させたりでき、効率的にデバッグ作業が行える
    • SQL文を生成するためのGUIが提供されており、SQLの文法に精通していなくてもコーディングに必要なSQL文が作れる
    • 画面ファイル、印刷ファイルの設計がGUIを使って行える
    • 80桁の制限がなくFF RPGのコーディングに対応しやすい
  • Eclipseベースの統合開発環境であり、Java、PHP、Pythonなどを学んできた若いプログラマーには馴染み深い開発環境なので、新人にSEUやPDMを教えるよりRDiを導入した方がはるかに高い生産性を実現できる
  • プラグインによって、先に述べたARCADやX-Analysisなどの分析ツールとの連携処理が行える

現時点でのRDiユーザー比率は50%を若干下回る程度のようですが、上記のような利便性やメリットが理解されれば急速に普及するものと思われます。RDiは60日間無料で試用できますので、是非試してみることをお勧めします。

オープンソースの取り込みと棲み分け

IBMはオープンソースのツールや言語をIBM i へ移植するよう、すべてのベンダーに積極的に呼びかけています。現在IBM i ではJava、PHP、Ruby、GCC、Node.js、Pythonなどのオープンソース言語が使用できますが、IBMはRPGで書かれた既存のアプリケーションをこれらのオープンソース言語で置き換えることを考えているわけではありません。RPG、オープンソースにはそれぞれ向き不向きがあり、両者を適材適所で使い分けながら連携処理を行うことで高効率のアプリケーションを短期間で開発するスタイルが、IBM i の目指す方向です。

例えば、オープンソースは最新デバイスとのインターフェースに使い、RPGプログラムとオープンソース・プログラムをコネクターやXMLサービスなどで繋げることで、既存のビジネスロジックを最新のデバイスで使用できるようにするといった使い方です。

オープンソース系言語とRPGの棲み分けに関連して、RPGはIBMが管理、制作している言語であるのに対して、オープンソース系言語はそうではないという事実も忘れてはならないポイントです。つまり、RPGで書かれたプログラムは将来のIBM i 上でもそのままリコンパイルなしに動くことが保証されますが、オープンソース系言語で書かれたプログラムに対してIBMはその保証ができないということです。この点も言語選択上の大きな考慮点になります。

IBM i  のライブラリー機能

今回のNEXTでは改めてIBM i  のライブラリーという機能への注目が集まっていました。事例講演の中でも、新しい組織用に同様のシステムを作る必要がある場合、ライブラリー・コピーをするだけで、迅速にビジネスを展開している、という事例が発表されていました。Dockerなど簡単にデプロイをする技術に注目が集まっていますが、IBM i  では、それ以上に高速開発を実現する機能が提供されているのです。

 

IBM i のデータ活用

近年System of Record (SoR)やSystem of Engagement (SoE)の分野と並んで注目されているのがSystem of Insight (SoI)の分野です。SoIはSoRやSoEによって蓄積された膨大なデータを様々な切り口で分析することで、まだ知られていない知見を得てそれをビジネスに役立てるためのシステムです。Db2 for iのアナリティクス・コンサルタントのダグ・マック氏によるセッション「Db2 for i開発リーダーが語る!Db2 & WebQuery最新情報」では、このSoI領域のソリューションであるDb2 Web Query for iの特長およびその事例の紹介が行われました。

セッションの様子

IBM i にはOSに統合されたデータベース機能(Db2 for i)があります。つまりどのIBM i にもDb2機能が搭載されており、ビジネスデータもDb2に蓄積されています。これをSoIの資源として活かさない手はありません。データ分析用のサーバーを別途用意することなく、POWERプロセッサーの高い処理能力と広大なメモリー空間を活用することで、通常のビジネスに使用しているIBM i 上のデータを高速で処理し分析することができます。Db2 Web Query for iはいわゆるBI、アナリティクス、データウェアハウス、OLAPを支援するソフトウェアで、SoI実現の強力なツールです。Query/400をお使いの方にはそれの高機能版と言えば分かり易いかもしれません。

Db2 Web Query for iは、単にIBM i 上のデータの分析を支援するだけではなく、Db2 Web Query for iのDataMigratorのETL機能を使うことで、他システム上のデータをIBM i に取り込み、これとIBM i 上のデータベースに蓄積されているトランザクションデータを組み合わせてより幅広い分析を行うことも可能です。この機能を利用した例として、クラウドサービスの各地の天気予報データと各支店のある商品の売上データから天気と商品売上の関係を分析し、天気予報に基づいた商品の売上予想を行い、仕入れなどのアクションにつなげている事例があります。

Db2 Web Query for iの使用ライセンスは既にすべてのIBM i に含まれています。インストールも容易で、サンプルの報告書やダッシュボードも豊富に用意されていますので、Db2 Web Query for iでどのような分析ができるのか実際に触って確かめてみることをお勧めします。

 

おわりに

IBM i はAS/400として発表されてから今日に至るまでの30年間、ユーザーのソフトウェア資産を守りながら同時にIT技術の進化にも適応し進化し続けてきました。これからもその方向性に変わりはないでしょう。しかし、IBM i の進化がもたらすメリットを本当に享受するには、ユーザーの側もそれに合わせて進化する必要があります。

「ここまで進化したIBM i を30年前の誕生時のままのAS/400として使い続けるのはあまりにも勿体ない」そんな思いを強くしたNEXT2018大会でした。

 

 

<著者プロフィール>
西原 裕善(にしはら ひろよし)
日本IBMでSEとしてS/34、S/38のシステム設計および導入作業に従事した後、米国ロチェスターの国際技術支援部門に出向し、全世界のIBM SEやお客様に対してAS/400の技術サポートを行う。帰国後、日本IBM システムズ・エンジニアリング(株)でITアーキテクトとして様々なシステムのアーキテクチャ設計を担当。現在はフリーのテクニカル・ライターとしてIBM iを中心に執筆活動を行っています。

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